てなわけで今年も、子供に見せるの見せないのというアンケート調査が発表された。
一番見せたくない番組は「ロンドンハーツ」 PTA調査(asahi.com:文化芸能)
去年も書いたんだけど(そうか、去年は6月に発表されたのだな。半月ぐらい早くなってるのは「くくく、これはけっこう話題に取り上げられるかも」と味をしめたに違いない。しらんけど)、今年はPTAが「子供に見せたい」番組も同時に発表している。去年は民放連が「子供に見てほしい」番組を発表してたんだよね(去年の共同通信の記事はもうリンク切れですが)。このへんも、いろいろ裏を想像すると面白い。
回答者は、小学5年生と中学2年生の保護者約4800人。で、「見せたくない」No.1は今年も『ロンドンハーツ』だ。あいかわらず見たことないなあ。今年もやっぱり感想は去年と同じ。「見せたくないなら見せなければいいじゃん」ということだけ。親がいやがるものほど子供にとってはおもしろいのだから、永遠のテーマですな。がんばってくれたまえ。きっとなにもがんばらないんだろうけどさ。
それよりイヤなのが「子供に見せたい」番組のほうだな。
1位が『プロジェクトX』(NHK)か。いかにも、だな。きっと、努力とか開発とか、そのへんを学んでほしいなんて思ってるんだろうなあ。前のエントリーでもちょっと書いたが、子供を“ただしい方向に導きたい”(悪くいえば、親の好みの方向へ進むようにコントロールしたい)のだとしても、テレビにおまかせって、どうよ。『プロジェクトX』を見せていれば子供はまじめなエンジニアをめざすけど、『ロンドンハーツ』を見てる子供は不真面目な人間になってしまうとか思ってるのか。
よくも悪くも、親の影響のほうがテレビより強いと思いますが。
『どうぶつ奇想天外!』(TBS系)や『3年B組金八先生』(TBS系)も、いかにも親のファンタジーって感じで笑える。4位の『ニュース』に至っては、あきれてものも言えない。お父さんお母さん、あんたたちそんなにニュースが好きですか。たしかに子供向けの番組は大人にはつまらんだろうし(子供向けだもん当たり前)、おれとてギャーギャー番組よりニュースのほうがいい。けどさ、それと「子供に見せたい」ってのとは別じゃないの? 『週刊こどもニュース』(NHK)見なさいなんていわれたら(小5ならともかく中2で!)、おれはグレるね。
『伊東家の食卓』(日本テレビ系)ってのもなあ。貧乏でも工夫してなんとかしなさいという教訓でも与えようというのか。
なんともはや。
しかしこんなことをダラダラと書いていても、ふと気づけば「「見せたくない」と「見せない」 〜子どもに「見せたくない」TV番組をめぐって:きょうのわたくし」にすべて書かれていたのであった。この記事にはもう、全面的に泣きそうなほど同意。
孫引きになっちゃうけど(元記事はもうリンク切れ。早っ)、
メディアをめぐる家庭内のルールは、テレビ視聴について小5の68%、中2の88%が「親と決めたルールはない」と回答。ネットについても「親と決めたルールがあり、大体守っている」と答えたのは、小5で30%、中2で16%にとどまった。
これじゃあね……。ほんと、重要なことは報道しないんだなあ。7割の子供が好き勝手なテレビを見られる環境にいるのに、親はそんなことは1ミリもおかしいと思ってなくて、「これは××ちゃんに見てほしくないわ〜、こんな番組なんてなくなればいいのに」「○○にはこういう番組を見させてだな、将来の日本を背負っていくようになってほしいものだ」などとこっそり思ってるだけってのが、大笑いでございます。
いやほんと、上の「きょうのわたくし」のエントリーは、たいへんおもしろいので、ぜひご一読を。てか、おれがあれこれ書かなくても、紹介するだけでよかったのかもしれない五月晴れの夕方。
おっと、毎日新聞の元記事は残ってました。
アンケート対象は、保護者6000人。回答したのが4800人ということなので、80%の回収率ですね。これって高いのか低いのか。統計にくわしい人おしえてください。
それにしてもやっぱり、親が放置してるだけ(テレビもネットも)で、なにもしようとはせず、テレビ局などの「他者」になんとかしてもらおうという根性が見え見え。おまえらの子供だろうがよ。
昨日(もうおとといだが)のNHK「プロジェクトX」にはやられた。
ほんとはね、例の工業高校合唱部のことがあったので、なんかエクスキューズするかなと意地悪い気持ちで見始めたんですよ。戦後の離島医療なんて、大変だっただろうけどそんな「技術!」「発明!」「営業!」ってもんじゃないだろうしね。
で、沖縄復帰前の公衆衛生看護婦の話。はじまって早々にやべえと思いながらも、やめられなかったな。やはりやばかった。うるうるうる。
非常にプリミティブな感想だが、女のひとってすげえと思った。いや、男だっていたのかもしれないし、そうやって男女を区別して考えるのも問題なのかもしれないが、でもそう感じたので仕方ない。
だって沖縄の離島にいって「駐在」して、そこの医療とか衛生とか予防とかやってんだぜ。まあみなさん沖縄に縁のある人だったようだけど、それにしても。
チームのトップだった人はもう90歳ぐらいなんだけどぴんぴんしてるし。スタジオにゲストで出た人は子供三人いて、次男がポリオで右足が不自由だったんだけど、すがる子供をおいて仕事に出て行くわけね。そしたら今、その次男の人はアメリカでお医者さんですよ(長男の人は琉球大学教授)。
なんかね、子供に見せたい番組とかいってる場合じゃねえだろ、と。「子供は親の背中を見て育つ」ってそれは子供が言うべき台詞であり(長男か次男かどっちかが、親の背中を見て育ちましたねえとか言ってたよ)、親が子供をほっぽらかしてるエクスキューズにしてちゃいかんよと。
まあそんなことまであれこれ考えてしまった番組であった。
こないだ子供に見せたいの見せたくないのってアンケートをやってたようなので、それにからめようと思ったのだが、それはまたいずれ。
ポリシーっていうほどのものなんかありゃしないが、今ブログ界が熱いようなのでおれも(笑)。
まずは「トラックバック・ポリシーを作ろう。ルールやマナーに悩む人のための作成ガイド:絵文録ことのは」にリストアップされているのをチェックしてみる。
……やってみた。つかれた。どうも「放置します」と「削除しません」の違いがよくわからない。場合によって対応が違ってきそうなものもあって悩む。なので、答えが1個だけになったものだけ挙げてみる。
基本
礼儀・挨拶
削除対象
こんなもんか。これでもおれの「トラックバックポリシー」とするにはくどすぎるかな。
トラックバックは自由。「トラックバックした/する」という挨拶は不要。トラックバック元の記事からおれの記事がリンクされてればうれしい。が、必須ではない。元記事は批判記事であっても賛同記事であってもオッケー。重複したら削除する。オンラインカシノとかからの不特定多数向け宣伝トラックバックも削除する。
こちらからトラックバックする場合も、挨拶はしない。記事中にリンクするかどうかは場合によりけり。批判記事のときはたぶんトラックバック送らないです気が弱いので(笑)。
これくらいかなあ。こんなところに宣伝してメリットがあるとも思えないのだが、誰か間違ってクリックしちゃうとかわいそうなので、なるべく削除してますよ。だからあの選択肢は「うぜえ。この腐れ毛唐め」でもいいんだけど。
あ、あと、
いちおうそういうポリシーでやってくが、いつ何時おれの気が変わるかはわからん。
と。
「リンク問題」にしても「トラックバック問題」にしても、ほんとうにみなさん、挨拶とか礼儀とか好きなんだなあ。だったらなぜトラックバック機能を切ったり、限られた人たちだけが見られるようにパスワードかけたりとかしないんだろう。不思議でならんよおれは。
やれやれもう月なかばではないか。困ったこまった。GW前が忙しいのはまあ仕方ない。許そう。しかしだな、GW中の平日はこよみ通り出社して、GW明けてもまだなんやかやと雑用に忙殺されるというのはどういうことか。
ネタをまとめられないではないかっ。
どんどん鮮度が落ちていくではないかっ。
ふう……。まあいいや。
コククジラ:フィーバー続く 姿見せずも見物客100人−−袖ケ浦/千葉(毎日新聞)
連休明けの月曜だってのに100人かよ。
クジラ:横須賀港内に出没 話題となったコククジラと確認(毎日新聞)
だから東京湾の反対側いっちゃだめっていったのにい。
コククジラ:東京湾の人気者死ぬ 定置網にかかる(毎日新聞)
人気集めたコククジラ、東京湾の定置網で死体発見(読売新聞)
東京湾のクジラ?死ぬ・千葉の定置網に掛かる(日本経済新聞)
死んじゃった……。定置網にひっかかっちゃったのか。かわいそうにな。
いや、海がつづいているところどこまででも行くのはクジラの自由だし、人間が定置網を設置するのも人間の生存権の問題だから仕方ないんだけどね。
それよりやはりあだ名をつけてもらえなかったのかというのが、かわいそうでならないんですよ私。あだ名がつけば、もう特別扱いだからね。住民登録もできるしさ。
残念だったねコッキー。
水産庁は鯨類座礁対処マニュアルに基づき、同研究所などの専門家を派遣。コククジラは珍しいため、DNA採取や骨格標本にすることも検討するという。(日経新聞記事より)
なんか役に立ってくれるようです。ありがとうコッくん。
クッキーモンスターのエントリーのおかげで、Googleの広告も「セサミストリートの仲間が」なんて出てるし(ちなみに分譲マンションのイメージキャラクターに使ってるっていうだけで、マンションの壁紙がセサミストリートだとかゴミ置き場にオスカーがいるとか子供の遊び場にキャラクターがとかいうのではないようです。ちぇっ、つまらん。)、検索でも「クッキーモンスター」関係でいらっしゃるかたが多いようです。でも俺はセサミ・キャラのなかではオスカーがけっこう好きです。
それはさておき。
はやくつけてくれないと落ち着かなくてしょうがないんですけど。ほんとに。今、きっと様子見してるんだろうなあ。すぐ消えたら決めるだけ馬鹿みたいだし、長引くならけっこう使えるネタかもしれないし。もっともキャラ的にはどうかなあ。
連休最後の日曜日、「コククジラ」見物に1000人(asahi.com:社会)
すげえ、1000人かよ。ほんと、暇なのな。いいけどさ。混雑してる遊園地やらなにやらより自然に親しめるし金かからないし子供の情操教育(笑)にもよさそうだし。でもここだけの話、鴨川シーワールドが一枚かんでると俺は思うんだけどどうでしょうか。ほら、近所だからか「あれは形からしてコククジラでしょうね」とか解説してたりもするし。「わりい、あとでエビのおいしいとこご馳走するからさ、しばらくこの近辺、まわってくんない? 房総半島側だけね、あっち岸にいかれると八景島に横取りされちゃうから、ウチのメリット」とか。
ま、とりあえず予想しておくかあ。
マッコウクジラあたりなら《マッキー》で決まりだったんだけどなあ(ほんとかよ)。どうもあだ名のつけにくい種類で困りますね関係者のみなさん。タマちゃんの夢よもう一度、って感じなんでしょうか。
宮藤官九郎のドラマを最初にみたのは『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)だった。石田衣良の原作が好きだったということもあってみたのだが、期待以上の出来だった。長瀬智也がジャニーズだったことも知らなかったが(今でもどのグループに所属してるのかよくわからん)、いい感じだったし、なによりまだいっちゃう前の窪塚洋介がよかった。
でもまあそれでおっかけて芝居やドラマをみるようなお年ごろでもなかったので、そのままだった。
次に接触したのが脚本『木更津キャッツアイ』(角川文庫)。ドラマの放映は2002年の1月から3月にかけてで単行本が同年4月刊、文庫化が2003年。当時の読書メモをひっぱりだしてみるとこんな感じ。
ドラマは観たことありませんでした。タイトルは聞いたことあった、雑誌でも特集されてたのを見た、けど、しょせんジャニタレドラマでしょ、みたいな。でも評判はけっこうよかったみたいで、ああノベライズされたのか、と手に取ってみたらシナリオだった、と。で、なんとなく読みはじめたら、これがなんと面白かったんですよ。
凝ってる。
ふざけてる。
こりゃあドラマも観るか、とDVDを1枚買った。続きも買った。結局全部観た。面白かった。
映画になるらしいですが、おじさんとしては観にはいかんでしょう。でもDVD出たら買うかも、ぐらい。
ドラマのことはおいといて。
最近活躍している宮藤官九郎です。新しいドラマライターで、幸運にもテレビにも合い、観客(若い視聴者)にも合ったんだろう。この才能は、大切にしてほしいと思った。できうれば今後も、あまり量産せずに、この作品ぐらい凝りに凝ったバカ話を、ちまちまと作っていってほしい。
案の定、映画化されてもみにはいかず、でもDVDは買ってしまった、と。おとなだからな。するってえと、脚本もおもしろかったのだが、映像も愉快だった(映画のほうはちょっとやりすぎだったかとも思うが)。あの馬鹿なノリは素晴らしい。
でも『マンハッタン・ラブストーリー』は見逃してるんだよな。キョンキョンが出てるのに、なあ。
で、ここからが本題なのだが(えっ?)。
『タイガー&ドラゴン』(TBS 金22:00)はみるべきでしょう(ああ、しかしあいかわらずジャニーズ事務所ってのはドラマの公式サイトに顔写真つかわせないのな。去年『新選組!』で香取慎吾がシルエットだったのには笑うのを通り越して哀れに思ったよ)。
まあ説明するのも面倒なので(おいおい)公式サイトにいって、興味がわいたらみてみるといいと思います、はい。
脚本だけ読んで面白いというドラマは、あんまりない、と思う。でもまあ脚本家の別の作品を見ていると――それが有名な人で特徴のあるせりふ回しだったりすると特に――なんとなく雰囲気がわかったりもする。
ある脚本家のドラマをチェックするようになって、過去のホンを読んでみたりすることもある。で、悩むわけだ。これ、みたい。でもDVDを買うほどのものなのかどうか。連続ドラマであればボックスになっていて、ずいぶん高くつくことになるわけで。
宮藤官九郎『ぼくの魔法使い』(角川書店 1600円)
2003.7.10初版、2003.8.5第2刷。連続ドラマシナリオ。放映は2003.4.19〜7.5(日本テレビ系)。
そろそろ文庫になるのかもなあと思いつつも購入。
超馬鹿ラブラブカップルの奥さんのほうが、記憶塾塾長のおっさんと〈入れ替わって〉しまうというのがメイン・アイディア。奥さんが篠原涼子でおっさんが古田新太。ああ、これ見たかったなあ。台詞もおかしいんだけど、やっぱりきっとビジュアルがおかしいんだろうなあ。“みったん”(カップルの旦那のほう)とか、よくわからない役者さんだと想像もつかんし。
てなわけで、 DVD-BOXを買うべきなのかどうか、今日も悩むのである。近所にレンタルビデオ屋がないのがつらい。
最近では雑誌編集部もウェブログをもったり著名人もやってたり、かなり一般的になってまいりましたが、5月3日の朝日新聞では駄目押しをするかのようにこんな記事が。題して『GWおうちでトライ ブログづくり』。GWにしなきゃいけないようなもんでもなさそうだが、遊びにいくアテもない人の救済策なのか。
36歳の既婚女性記者・高橋美佐子さんが《ブログ事情に詳しい小林弘人さん(40)》に教えてもらいながら、はじめてのブログを作る、という記事だ。自己紹介は身元情報漏洩のもとになるので慎重にしたほうがよい、みたいなことをいいつつ、携帯電話で師匠の顔写真をアップしてみたり(しかしその場合の“他人のプライバシーへの配慮”はどうなのか、ひとこと欲しいと思うが)、コメントやトラックバックの機能を説明してみたり。
コメントがつくと、
見知らぬ人と初めてつながった感激は、忘れられない。
うははは、36歳にしてはウブですね。新聞記者やってて、そんなことで感激してどうするのか。記事を読むシロウトさんを勧誘するためだからこれでいいのだ、とか? なんだかな。
そして既婚女性記者さんは、人気ブログの《文体をひそかに研究》したり友達に宣伝しまくったりするのであった。文体の研究って、どんなんだろう。
彼女の更新はもっぱら携帯電話からのようだ。
通勤途中などに、1日あたり2、3回、記事を加えた。
へえ、歩きながら更新したりしたのか、大変だな。と思ったら、どうやら通勤電車の中でらしいぞ。
とはいえ、昨日あたりから、電車の中で携帯メールする人に「あの人も『ブロガー』かな」と親近感を覚え始めた。「ブログ」に、はまってしまったかもしれない。
はまったのか。そうかそうか。よく平気でそんな表現を新聞紙上で使えるなあ。ブロガーって気持ち悪い言葉だなあと思うけど、もう市民権を得たんですかね。いやまあそんなことはどうでもいいや。
ここで気になったのは、《電車の中で携帯メール》だなやっぱり。携帯をいじってる人をみてブログやってるに違いないと思える想像力はすごい。で、まあどの路線をつかってるか知らないが、携帯禁止の車両ではブログの更新をしていないことを、切に願う次第です。まあどうでもいいけど。
検索してみたら(もし同姓同名でないのだとすれば)、この記者さんについてはいろいろ出てきました。すごいなあと思うことも。でもまあそれはそれ、これはこれってことで(笑)。
朝日新聞テレビ欄『はがき通信』(05/05/03)より。
「ビデオに撮って家族で見ている。『お父さんだったらどうした方がいい?』『もしお前が主人公だったら友達とどう付き合う?』などと話し合っている」(42歳男性)。
うっわー……(気絶)。
テレビ欄にある、読者からの番組寸評投稿欄「はがき通信」。最終面のメインのテレビ欄ではなく、真ん中あたりのラジオ欄のほうに追いやられていることもあり、ついつい見過ごしがちだ。が、たまに強烈な人がいたりするからあなどれない。
今日紹介したのは、《4月の投稿から》ということで、この番組に反響が多かったですよー、というやつで、取り上げられたのは朝の連ドラ『ファイト』と声優がかわった『ドラえもん』。ちなみに4月の投稿数は337通。女性と男性の割合は、だいたい2:1といったところで女性陣のほうが多い。
で、上にピックアップした42歳男性。ど、どうですかこういうパパ。子供は小学生か中学生ぐらいかなあ。学校に通っているから、もちろん朝の連ドラをみる暇はない。で、パパはわざわざそれを録画して、週末に家族そろって視聴するわけだ。視聴させるわけだ。でもって意見交換なんかするわけだ。
うわー。最悪だな。
わたくしがその家の子だったら、一目散に不良化して、家出・飲酒・喫煙・家庭内暴力・援助交際(←男は売れないだろうなあ)などを一通りやって、父親の目をさましてやりたいです。なんて親孝行なんだろ俺。
こんな親孝行な発想はあんまりしないよね、きっと。普通はもっと冷たくて、親の言うままに連ドラ15分×6日で1時間半つきあって、おとうさんが「どうだ××、こんなとき、おまえだったらどうする?」と訊かれたら、いちばん父親が喜びそうな、無難な答えを返して、その苦痛の時間が過ぎるのを待つだけだよなあ。
この馬鹿42歳(あ、いっちゃった……)、どういう育ちかたをしたのだろう。親との確執とかはなかったんだろうか。なかったんだろうなあ。それか、キレイさっぱり忘れてしまったんだろうなあ。お気楽だなあ。
俺にしてみりゃ、気持ちわりいだけだが。子供の教育を考える前に、てめえの半生を振り返れといって差し上げたいですね。
なにやらずいぶんな鳴り物入りで3月12日から5月8日まで上演。朝日新聞でのタイアップ記事や広告、劇評を見て行こうと思ったわけですが(もちろん朝日新聞社ほかの主催、共催はフランス大使館、特別協賛はエルメス)、高い。24000円から8000円。私はS席14000円のチケットをとりました。北Cブロック11列。円形劇場なのでどこに座っても大差ないのかもしれませんが、ほぼ正面で、演奏者たちを左右に見渡せる位置だったので悪くはなかった。
曇り空の下、地下鉄大江戸線清澄白河駅から延々と歩いて木場公園。深川めしが名物らしく、商店街には食堂らしき店がちらほら。おなかすいてきたけど、まあいいや。
日曜だったので開演は5時。会場は3時半だが、ついたのは4時半ぐらい。現代美術館のある公園の中に特設シアターがそびえている。
チケットを切られたあとは土産物屋さんのプレハブへ自動的に進むことになっております。飲食もできるようでしたが、あの混雑じゃあその気分にもならず。チョコレートだのTシャツだのDVDなどいろいろ売ってるようでした。パンフレット(3000円也)のみ購入。噂のエルメスショップの品揃えはこんな感じ。さすがエルメス、高いっす。
観客を見回してみると、騎馬オペラのオペラ部分に惹かれた人はオペラ仕様で、騎馬部分に惹かれた人は曲芸(曲乗り)仕様で来ていたような気がした。ちぐはぐというか。でも足元がけっこう不安なので騎馬派のほうが正解(笑)。
開演15分前になるとゲートに誘導され、座席への案内を待つことになる。これが3階分ぐらいの高さに位置しているため、建設現場みたいな(そこまでひどくはないが)階段をあがっていくことになる。ゲート前で待っていると、おそらく馬たちが出入りする際に通るのであろうと思われる砂敷きの通路が眼下に。ああ蹄のあとが。けっこう大きいのだな。
さて各馬ゲートイン、じゃなくて観客入場。
なかは薄暗い。というより真っ暗に近い。中に入ってもまだ階段があるので、かなり注意が必要。演出の都合上仕方ないということなのだろうが、危ないよなあ。階段をのぼり、さらに折り返してのぼり、今度はくだって着席。え、パイプ椅子かよ。仮設劇場だから仕方ないのか。なんでも仕方ないことばっかりだなあ。
シートの位置そのものは悪くない。円形の舞台(馬場というべきか)を見下ろすようになっているので、どの席からでも見えないということはないだろう。お椀が伏せられたような(蝿帳みたいな!)ドームが設置され、周囲を人がのたくっている。おお、これが《五体投地》というやつか。でも、ここでみるのとはすこし違う。いちど完全な腹ばい状態になっている。しかしこのGIFアニメ早すぎ(笑)。そうそう、こちらにある写真の雰囲気のほうが近い。舞台と客席を隔てる低い壁のような部分を、お香をもった人が歩いている。どこからか聞こえてくる声明。お香と声明で気分はお通夜(ちと違う)。
録音・撮影の禁止につづいて「拍手の禁止」のお達し。チベット僧に敬意を表して、とのこと。馬のためじゃないのね。馬がおどろくから、っていうならわかるけどなあ。
演目は『ルンタ』、チベット語で「風の馬」という意味だそうだ。
で、ステージ。もうあと数日しかないから書いちゃうが(これからみる人は読まない方がいいかも)、馬の呼吸とまではいかないが、例の「ぶるるるるるん」が聞こえるのには純粋に感動した。とても綺麗な馬たちでした。どこかからは「グァグァ」とアヒルだかガチョウだかの声が聞こえてくる。録音だと思ったら違ったよ。
前半はゆったりとしたパートがおおかったので、眠くなってしまったのは確か。ついうとうととしてしまった。音も単調だしね。
でもロバやガチョウ(アヒル? どっちなんだろう。アヒルにしては大きいように見えたけど、馬がそんなに大柄じゃなかったからアヒルなのかな)がユーモラスな演技をするころになると覚醒してきた。
インターミッションふうに乗り手が客席からあらわれて、舞台のふちで着替えを始め、大曲乗り大会になると、もう息をのんで見つめるしかない(このあたりのパーカッションのかけあいのような演奏もよかった)。これで拍手するなというのはつらいぜ。
そして、あれよあれよという間にフェイドアウトするように終了。
もっと馬の走りをみていたかったなあ。あんなせまいところ(直径30メートル)をあのスピードでぐるぐる走り回ったり、踊ってみたり、馬さんすごいです。それをやらせた人間もすごいんだけどね。
終わった頃には雨が降り出し、コンディション的にはイマイチでしたが、珍しいもん見せてもろたという感じ。チケットは高いけど、馬やガチョウ(もしくはアヒル。どっちなんだよう)を連れてきて、彼らの滞在する環境も整えなきゃならないんだからしょうがないかな。きっと一番安い席でも楽しめたと思う。次、いつ来るかわからないしねえ。
最後はちゃんと拍手できたけど、馬たちにはその賞賛は聞こえなかっただろうな。人間しかいなかったから。聞こえてもうれしかないだろうけど。演奏チームのチベット僧たちも立ち上がってニコニコしてたんだから、やっぱり「チベット僧に敬意を表して」というのは違う気がする。ダライ・ラマだってそんなこと別にかまわんすよとかいいそうだ(どういう根拠で)。
チベットについてはいろんな本がありますが、庶民の生活については渡辺一枝『わたしのチベット紀行』(集英社文庫)あたりがおもしろかった。あとは河口慧海『チベット旅行記』ね。これは傑作。いや全部読んだわけじゃないんだが。去年ダイジェスト版の『チベット旅行記 抄』(中公文庫BIBLIO)が出たのでちょうどお手頃かも。
映画なら『セブン・イヤーズ・イン・チベット』が定番なのかもしれないが、ここはあえて『クンドゥン』をおすすめしたい。
と、話はずいぶんジンガロからそれてしまったが、興味をもった人は以下のサイトをみてみると楽しいかもしれません。