March 31, 2006

名前なの?

「矜持」の名前は認められず 人名用漢字訴訟で判決(asahi.com)

 子供に「矜持」と名付けようとしたんだけど人名漢字に入ってないから受理されなかった41歳の先生が、精神的苦痛を受けたから慰謝料払えという訴えを起こしたんですが、請求は棄却されました、というお話です。
 …………。

 いろんな名前があるよねー。ほんとにねー、もうねー、基本的にはどうでもいい。いいんだけどさ。でも、「矜持」それは名前ではあるまいて。
 いい言葉だよ。きょうじ。岩波の国語辞典には「自分の能力を信じていだく誇り。プライド。」とある。すばらしい。すばらしいが、名前じゃないだろう。名詞だろ。

 いや、そりゃあね、勝利と書いてカツトシとか、正義と書いてマサヨシとか一般名詞ふうの名前は存在する。でも、そういうのだって、いちおう名前っぽい読み方にしてると思うんですけど。

 教司(お父さんは先生だし)でも恭二(次男だそうだし)でも強次(志ん朝さんの本名でもあるし)でもいいと思うんだけどなあ。でもって「おまえの名前はキョウジだ。別の漢字に“矜持”という言葉がある。おまえには矜持を持って生きていってほしいから、教司(もしくは恭二もしくは強次)と名付けたのだよ」と言ってあげればいいのに。
 そんな直截な、思いついたまんま、この言葉が好きだからそれを名前に、なんつうのは思慮に欠けるのではないか、と思ったりした。っていうか、ひねりがねえよと思いました。なんだその短絡的な名付け方。

 だってさー、この先生の主張って、

「親が子に名前を付ける権利は表現の自由の最たるもの。それを認めず、人名に使える漢字も制限するのは憲法違反」

 っつーんですぜ。子供の名前をつけるのは“表現の自由”だったのか。命名は表現だったのかあ……。
 外来語みたいな妙な名前に比べれば、まだキョウジはましかもしれんけどね、それにしたって矜持は名前に見えませんです。イントネーション違うし。

March 28, 2006

悪魔が来たよ

 なんかすげえ忙しいや。泣きそう。しかも春眠あかつきおぼえねえし花粉とんでるし。でもぼく泣かないよ。男の子だもん!

 というわけでダラダラ働いておるわけだが、そういうときに限って人んち面白いこととんでもないことに。ああ、いじりたい。
 や、俺の場合、いじるとか相手するとかじゃなくて、遠巻きに見て、聞こえるか聞こえないかギリギリぐらいのところでボソボソ言っていたい。だからトラックバックはやめとこう(邪)。でもそんな暇ない。ああ、うう、ああ、うう。うしし。

 でも、笑い事じゃねえなあ。いつウチがそういう、アレな人に魅入られてしまうかわからんもんなあ。

 そんな困ってしまってわんわんわわん、な人はこちらをみるとよかろう。なんてタイミングがいいんでしょう。おなじみぺり公さんの「阿呆LOG」の《突然現れた人物が悪魔であるかどうか見分けよう》10箇条。3つぐらいはあてはまっているような気がするのだがどうでしょう先生。

 あ、今みたら、なんか分身みたいな人も出てきた(笑)。すげえすげえ。
 どんな世界にも、がちがちのマジメちゃんとか心清き人ってのはいるもんだなあ。とわけのわからないまま幕。

 まじめに考えればいろいろ思うところもないわけではないが目がかゆいのでやめておく。しかし感情の事実関係ってのはすごい。今月のヒットです。でもきっと外国の人です。でなければ悪魔。

March 22, 2006

むらがる人々

 てなわけでWBC騒動でございます。
 いやはや。号外が出たそうですね。でもって、

女性3人、男性1人が軽傷…WBC号外求め殺到し(SANSPO.COM)

 やれやれ……。そんなにほしいのか。本当にほしいのか。タダならなんでもほしいのか。前の人を押し倒してでもほしいのか。人の持ってるのをむしりとってまでしてもほしいのか。そんな自分を客観的に見たとき、どう思うのか。家に帰って家族に「今日WBCの号外くばってたからもらってきたよ」といってくしゃくしゃになった号外を見せてうれしいのか。学校で自慢してたのしいのか。
 もらおうとして人をつきとばしたり押しのけたりしたことは、なかったことにしますか? WBCの話題になるたびに、記念の号外をみるたびに、思い出さないのですか? それとも、そんなことはなかったことにするのですか?

 あー、あとやっぱりいたよ! テレビの街頭インタビューで「感動をありがとう」ってコメントする馬鹿(馬鹿呼ばわりかよ)(そうだよ悪いかよ馬鹿だよ馬鹿だとしか思えねえよ)。おっさんでした。「感きわまって涙が出てきました」なんていうお姉ちゃんもいたな。生まれて初めて使っただろ、その言い回し。

 さあ恒例の(いつから!?)『Googleちゃんに訊け』です。
感動をありがとう 王監督」は現在813件。ホークスがらみの記事が多いようですけどね。これがこの先数日間でどれくらいふくれあがるか、楽しみでございます。
 ちなみに「感動をありがとう イチロー」は25500件。すげえ。「ICHIRO感動をありがとう福袋」なんていう商品までありましたよ。アホか。

日本優勝@第1回WBC

 テレビも新聞もウェブニュースもこればっかりなので、いまさらですが。
 たまたま休日でしたし、じっくり見てしまいましたよ。ほかにすることもなかったしね。
 最初は、はじめだけ見て、途中で様子を見て、終わりそうなころに見届ければいいか、ぐらいのつもりでいたんです。だって相手はキューバだし。キューバといえばカストロだし葉巻だしモヒートだし、あの体格とパワーと五輪金メダル常連だし、勝てないよね、と思ってました。決勝まで残れただけでもエライじゃん、と。

 ところが初回に4点。これで目が離せなくなった。
 ふつうの相手なら4点取ったら多少安心して、当初の予定通り、見たり見なかったり本読んだり居眠りしたりいろいろできるわけですが(キューバが4点取ったんだったらそうなっただろうな)、いつ追いつかれるかわかんないもん。あの圧倒的な存在感というかおそろしさ、20点ぐらい取らなきゃ安心できない。無茶。

 6-5になったときはもうあきらめましたね。しょうがないよよくやったよ。よく8回までがんばった。大塚がよく抑えた。でも9回裏に逆転されるよね多分ね。1点差なんてないようなもんだよね。

 ところが。
 9回表に4点を入れて10-5とつきはなす日本。イチローえらい。福留もえらかったけどイチローえらい。王監督もえらい。
 えー、マジで? このまま勝てちゃう? 半信半疑ですわ。たしかにキューバは投手をころころ代えてきて、どたばたしているふうではあった。あったけれども、もう今日で最後なのだから、温存する意味もないしね。
 結局、9回裏に1点取られはしたものの10-6で日本優勝。あとはご存じのとおり。夕方のニュース番組なんか、松中ほか代表メンバーが各チャンネルを渡り歩いてインタビューに応えることになったのでありました(渡り歩いたわけじゃないけど)。

 いやしかし楽しかったなあ。楽しいヤキュウだった。野球を見て、ハラハラしたりドキドキしたり凡ミスに肝を冷やしたり痛快なヒットに快哉を叫ぶなんて何年ぶりだろう。
 意味があるんだかないんだかわからなかったWBCだけど、この決勝戦だけでもやった甲斐はあったというものですな。
 でも次回は、1次リーグで同組だったチーム同士は2次リーグで別の組にするとか、審判は当該国以外から出すとか、いろいろ改めてほしいなあ。

 と、気分よく仕事をしていたら。

「10月以降に再度日韓戦を」 韓国野球委員会総裁(asahi.com)

 はあ?
 WBCをきっかけに、さらに野球ブームを盛り上げるために親善試合を、という話なのかと思ったら、

 韓国野球委員会(KBO)の辛相佑総裁は22日の平和放送のラジオ番組で、プロ野球シーズン終了後の10月以降に日本で再度、日韓戦を行いたいとの考えを示した。

 辛総裁はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が優勝したことについて「実質的には2対1(2勝1敗)で韓国に負けたと、日本もよく分かっている」とした。また、開催時期の気候的な問題から「(韓国には)ドーム球場がないために(再戦は)日本の意思が重要」と述べた。(共同)

 なにをいってるのだこの人は。韓国に負けたってああた、準決勝で勝ったから決勝に出られたのだし、決勝で勝ったから優勝なんだし……アタマ痛い。実質もなにも、そういうルールでやりましょうってことになっていたのだから、ちゃんと理解していただかないと。《野球委員会総裁》っていうのがどういう人なのかしらないがかなりアタマ悪いみたいですね(コミッショナーみたいなもの? だったらまあ馬鹿でも仕方ないか、わはは)。

March 12, 2006

商売熱心でかたづけてよいのか

「居酒屋・子どもウェルカム化現象」を考える(Exciteニュース)

 ほー。ウェルカムだったのか。知らなかったよ。図々しい親が子供を連れてきて、お店の人はことを荒立てたくないから仕方なく受け入れているのだとばかり思っていたよ。
 酒場に子供連れていくのが平気って、すごいな。
 だいたいほら、ちょっとうらぶれちゃったり家庭捨ててますみたいな感じの父親が、母親の目を盗んで(あるいは母親には動物園に連れて行くなどといって)息子をつれだして、競馬にいったり帰りに居酒屋によったりするもんだと思っていましたよ。昭和何年の話だそれは。

 チェーン居酒屋に子供ねえ。そもそも最近行ってないからなあ。
 あ、見たことあったな。大宮だかどっかだかにいった帰り、駅前の「庄屋」に入ったら子供がいたな。しかも駆け回ってたな。噂には聞いていたが、ほんとに駆け回ってるんでおどろいた。親はどこにいたんだろうなあ。店内にいたことは間違いないんだが。親の顔が見たい、のリアルバージョンだったな。
 チェーン店以外では、ちらほら見かけたことがある。あれは居酒屋って呼んでいいんだろうなあ。子供というより赤ん坊に近いのを連れていた。食べ終わってもぐずぐずしてるもんだから子供は飽きちゃって大騒ぎしてたな。あげくの果てに、座卓の上にのぼらせてた。ありゃあ見苦しかった。
 それ以外では、小さな子をもつ友人にきいてみても「え? なんで子供連れて居酒屋なの?」みたいな反応が多いので一安心ではある。

 まあそんなことはどうでもいいや(よくないって)。上のexciteニュースの記事の話。

 わざわざそのための個室をつくり、わざわざそのために有機野菜をつかい、わざわざ子供用メニューまで開発する。じつに商売熱心なことです。
 どうにも理解できないのが、なぜ居酒屋なのか、ということだ。居酒屋ちゅうたら酒を飲ますところでしょう? 酒を飲ますことが主目的なのだから、食事を供するところがメインの食堂やレストランとは性格が違うと思うんだけど。たとえ酒を飲まなくても、20歳未満が入店するのって、いかんのじゃないか。食堂やレストランなら別に酒を飲まなくてもかまわないわけで、当然20歳未満であっても客になることに問題は生じないとは思うが。
 ところが親は、「小さな子供だけで留守番させるわけにはいかない」というような理由で居酒屋に子供を連れてくるわけだ。
 え? 俺の頭が悪いせいか、そのあたりの論理の飛躍がよくわからない。
 留守番できないから居酒屋? 居酒屋じゃなくて、別の店にするという選択肢は?

 しかし居酒屋チェーンの側が子連れファミリーを顧客として取り込もうとしているのだからこわいものなしだ。

「昔の居酒屋はどうしても"赤提灯"をイメージする人が多かったですよね? でも、家族連れや女性も意識し、みんなが楽しく過ごせる場所ということで、『居楽屋』としたんです」(白木屋)
「周りの席を気にせずに楽しんでいただけるよう、個室風の席を設けています。お子さま連れの方は、ダントツで個室を利用されますね」(同)
「もともと居酒屋とファミレスの中間として作ったもので、『豊かで楽しいもうひとつの家庭の食事』がコンセプトです」(和民)

 はあ、そうですか……。
 だったらはっきりと「ファミレスです」っていってくれればいいのにね。あるいは大衆食堂でもいい。
 居酒屋を居楽屋と呼ぼうが居食屋と呼ぼうが(レストラン・食堂となにが違うんだろう……)、その言葉には酒場としての印象が残る。酒場なのに子供がいるから違和感をおぼえる。もうちょっと独創的な名称を考えたらどうだ。酒が飲みたいという人間が間違っても入らないような名前にするべきだ。
 まあワタミグループにも白木屋にも行くことはないだろうからいいんだけどさ。

 もうひとつ気になるのが、“個室で気兼ねなく”という発想。
 上の記事でもライター自身が、

自分自身が「うるさいな〜」と思っていたからこそ、個室があればそこをお願いしたり、子どもが飽きたとみれば店を出たりと、周囲に気を配るようにしている。

 と書いているし、白木屋の人も、

「周りの席を気にせずに楽しんでいただけるよう、個室風の席を設けています。お子さま連れの方は、ダントツで個室を利用されますね」

 といっている。
 ここにあるのは――穿った見方かもしれないが――他人に迷惑をかけないように、ではなく、他人に迷惑をかけたことによって自分が非難されないように(恥をかかないように)という、あくまでも自己中心的な考えかたのように思えてならない。
 ――それだって、実際に迷惑をかけられるよりは、かけられないほうがいいでしょ?
 おっしゃる通り、誰だって迷惑をかけられたくはない。
 しかし、仮に個室のなかであったとしても、ごはんを食べるときはきちんと座って食べる、大声で叫んだりわめいたりしてはいけない、食べ終わるまでは席を立たない、ましてや席をたって走り回ったりしない、という基本的なところは押さえておかないといかんのじゃないか。
 それとも、個室だからそこで走り回ろうと赤ん坊のおむつを替えようとコップをひっくり返そうと許されるって思ってるんだろうか(すまん、偏見だが子供を連れて食事をするのに「居酒屋」を選んだ時点で、へっちゃらでそういうことをするんだろうなあと思ってしまうのだ)。
 ――だったらどこで食事すればいいっていうんだよ。
 知らないってばそんなこと。
 ただ、少なくとも親になったからには(本当は親かそうでないかは関係ないんだけど)一般常識は身につけるべきだし、食堂・ファミレス・居酒屋の席や、飛行機や列車の座席で赤ん坊のおむつは替えちゃいけない。子供に対しては、食事をするときの最低限のマナー(というか動物ではなく人間であるということの証明)を教育すべきだと思う。
 それをした上で、たとえばファミレスのトイレでおむつを替えるのは不便だから改良せよと運動をすればいいんじゃないかな。なにかを手に入れるには、それに見合った自らの努力が必要なのだから。あれも不便これも気に入らんじゃあ、ねえ。

 話がずれたな。

 結局のところ、親の自覚次第ってことなんだろうなと思うよ。
 煙もうもうの酒場に幼児を何時間もおいといたら健康上よろしくはないだろう。夜遅い時間まで子供を起こしてそんなところにいちゃいかんだろう。酔っぱらってバカ話をしている大人を見せるのは教育的にどうよ(子供の頃、親類縁者があつまって酒盛りをしている風景を見るのは実にイヤなもんだったなあ)。有機野菜だ無農薬だと素材にこだわるのはいいが、日常のごはんでは気をつかってるんですかどうですか。
 と、いろいろなテーマが隠されているわけだ。そしてそのひとつひとつを検討して選択するのは親の権利であると同時に義務でもある。子供には選べないからね。

 和民の人はこういっている。

「たとえば、家族3人の家庭では、外食というと、まずお子さんにどこに行きたいか聞きますよね? すると、1番に挙がるのが焼肉で、次はお寿司といいます」

 3番目がファミレスで、4番目が居酒屋だそうだ。
 ってことは、子供にとっての四番人気の店にあえて来ている人たちというのは、特に「居酒屋に是非ともいきたいなあ」「今日あたりは刺身で一杯やりたいねえ」といっている子(そりゃあ渋すぎだろ)を持っている親か、子供の希望はどうでもよくて親が居酒屋に行きたいだけか……。どっちが多いんだろうね。
 子供の希望をなんでもきいてやれとはいわんよ。むしろきかないほうがいいだろうと、好きなものを食べるのはテメェで稼いでからにしろというのは正しいと思うよ。

 ただ、少なくともあなたが店を選ぶときには、子供のことを考慮にいれてやってほしい。子供が「居酒屋《に》行きたい」と思っているのか「(本当は嫌だけどパパ・ママが行きたがってるから)居酒屋《でも》いいよ」と思っているのか、それがわかる親でいてほしい。

March 11, 2006

カーリング熱

 というやつが流行っているのか流行っているのかわからん昨今である(なんじゃそりゃ)。

 トリノ以降、やたらテレビのニュースでは取り上げられるわけだ。まあさんざっぱら話題になったし、折良く「第23回日本カーリング選手権大会・女子の部」という大会もチーム青森の地元、青森市で開かれているのでタイムリーといえばタイムリー。
 が、しかし。
 その取り上げかたが気に入らない。

 今さらカーリングのルール説明したり五輪のおさらいしたりしてどうする報道ステーション。まあ《解説の小林さん》の顔を見られたのはよかったが(笑)、カナダ戦ダイジェストなんてもういいから。
 そりゃチーム青森(誰だ、カー娘なんてダサい愛称を考え出したやつは。ガソリンスタンドでガラス拭きしてる女の子みたいじゃないか)が注目されるのはわかる。今いちばん有名だからね。
 だけどさ、スポーツ大会なんだから、今日やった試合結果の一つも紹介したらどうだ。WBCの練習試合やプロ野球のオープン戦(これだって練習試合だろうに)はしつこく報道するくせに。

 え、ニュースバリューが違う?
 はあそうですか。要するにカーリング熱ではなくてチーム青森熱なわけですね。カーリングという競技ではなく、カーリングしている娘さんたちに(マスコミは)興味があるわけですね。そして視聴者も同様である、と。そうですかそうですかどうもすみませんでした。

 どこかで放送してくれないかなあ、カーリング。あの、リアルタイムの緊張感をまた味わいたい。

【追記】
「感動をありがとう 荒川静香」はなんと11万8千件、「感動をありがとう チーム青森」は1万100件であります(3/11 1:30現在)。しつこいな俺も。

【追記の追記】
 予選の順位はタイブレークで決めるそうです。結果、予選1位チーム青森、2位チーム常呂中学校、3位チーム長野、4位チームカシオペアとなったそうな。