March 12, 2006

商売熱心でかたづけてよいのか

「居酒屋・子どもウェルカム化現象」を考える(Exciteニュース)

 ほー。ウェルカムだったのか。知らなかったよ。図々しい親が子供を連れてきて、お店の人はことを荒立てたくないから仕方なく受け入れているのだとばかり思っていたよ。
 酒場に子供連れていくのが平気って、すごいな。
 だいたいほら、ちょっとうらぶれちゃったり家庭捨ててますみたいな感じの父親が、母親の目を盗んで(あるいは母親には動物園に連れて行くなどといって)息子をつれだして、競馬にいったり帰りに居酒屋によったりするもんだと思っていましたよ。昭和何年の話だそれは。

 チェーン居酒屋に子供ねえ。そもそも最近行ってないからなあ。
 あ、見たことあったな。大宮だかどっかだかにいった帰り、駅前の「庄屋」に入ったら子供がいたな。しかも駆け回ってたな。噂には聞いていたが、ほんとに駆け回ってるんでおどろいた。親はどこにいたんだろうなあ。店内にいたことは間違いないんだが。親の顔が見たい、のリアルバージョンだったな。
 チェーン店以外では、ちらほら見かけたことがある。あれは居酒屋って呼んでいいんだろうなあ。子供というより赤ん坊に近いのを連れていた。食べ終わってもぐずぐずしてるもんだから子供は飽きちゃって大騒ぎしてたな。あげくの果てに、座卓の上にのぼらせてた。ありゃあ見苦しかった。
 それ以外では、小さな子をもつ友人にきいてみても「え? なんで子供連れて居酒屋なの?」みたいな反応が多いので一安心ではある。

 まあそんなことはどうでもいいや(よくないって)。上のexciteニュースの記事の話。

 わざわざそのための個室をつくり、わざわざそのために有機野菜をつかい、わざわざ子供用メニューまで開発する。じつに商売熱心なことです。
 どうにも理解できないのが、なぜ居酒屋なのか、ということだ。居酒屋ちゅうたら酒を飲ますところでしょう? 酒を飲ますことが主目的なのだから、食事を供するところがメインの食堂やレストランとは性格が違うと思うんだけど。たとえ酒を飲まなくても、20歳未満が入店するのって、いかんのじゃないか。食堂やレストランなら別に酒を飲まなくてもかまわないわけで、当然20歳未満であっても客になることに問題は生じないとは思うが。
 ところが親は、「小さな子供だけで留守番させるわけにはいかない」というような理由で居酒屋に子供を連れてくるわけだ。
 え? 俺の頭が悪いせいか、そのあたりの論理の飛躍がよくわからない。
 留守番できないから居酒屋? 居酒屋じゃなくて、別の店にするという選択肢は?

 しかし居酒屋チェーンの側が子連れファミリーを顧客として取り込もうとしているのだからこわいものなしだ。

「昔の居酒屋はどうしても"赤提灯"をイメージする人が多かったですよね? でも、家族連れや女性も意識し、みんなが楽しく過ごせる場所ということで、『居楽屋』としたんです」(白木屋)
「周りの席を気にせずに楽しんでいただけるよう、個室風の席を設けています。お子さま連れの方は、ダントツで個室を利用されますね」(同)
「もともと居酒屋とファミレスの中間として作ったもので、『豊かで楽しいもうひとつの家庭の食事』がコンセプトです」(和民)

 はあ、そうですか……。
 だったらはっきりと「ファミレスです」っていってくれればいいのにね。あるいは大衆食堂でもいい。
 居酒屋を居楽屋と呼ぼうが居食屋と呼ぼうが(レストラン・食堂となにが違うんだろう……)、その言葉には酒場としての印象が残る。酒場なのに子供がいるから違和感をおぼえる。もうちょっと独創的な名称を考えたらどうだ。酒が飲みたいという人間が間違っても入らないような名前にするべきだ。
 まあワタミグループにも白木屋にも行くことはないだろうからいいんだけどさ。

 もうひとつ気になるのが、“個室で気兼ねなく”という発想。
 上の記事でもライター自身が、

自分自身が「うるさいな〜」と思っていたからこそ、個室があればそこをお願いしたり、子どもが飽きたとみれば店を出たりと、周囲に気を配るようにしている。

 と書いているし、白木屋の人も、

「周りの席を気にせずに楽しんでいただけるよう、個室風の席を設けています。お子さま連れの方は、ダントツで個室を利用されますね」

 といっている。
 ここにあるのは――穿った見方かもしれないが――他人に迷惑をかけないように、ではなく、他人に迷惑をかけたことによって自分が非難されないように(恥をかかないように)という、あくまでも自己中心的な考えかたのように思えてならない。
 ――それだって、実際に迷惑をかけられるよりは、かけられないほうがいいでしょ?
 おっしゃる通り、誰だって迷惑をかけられたくはない。
 しかし、仮に個室のなかであったとしても、ごはんを食べるときはきちんと座って食べる、大声で叫んだりわめいたりしてはいけない、食べ終わるまでは席を立たない、ましてや席をたって走り回ったりしない、という基本的なところは押さえておかないといかんのじゃないか。
 それとも、個室だからそこで走り回ろうと赤ん坊のおむつを替えようとコップをひっくり返そうと許されるって思ってるんだろうか(すまん、偏見だが子供を連れて食事をするのに「居酒屋」を選んだ時点で、へっちゃらでそういうことをするんだろうなあと思ってしまうのだ)。
 ――だったらどこで食事すればいいっていうんだよ。
 知らないってばそんなこと。
 ただ、少なくとも親になったからには(本当は親かそうでないかは関係ないんだけど)一般常識は身につけるべきだし、食堂・ファミレス・居酒屋の席や、飛行機や列車の座席で赤ん坊のおむつは替えちゃいけない。子供に対しては、食事をするときの最低限のマナー(というか動物ではなく人間であるということの証明)を教育すべきだと思う。
 それをした上で、たとえばファミレスのトイレでおむつを替えるのは不便だから改良せよと運動をすればいいんじゃないかな。なにかを手に入れるには、それに見合った自らの努力が必要なのだから。あれも不便これも気に入らんじゃあ、ねえ。

 話がずれたな。

 結局のところ、親の自覚次第ってことなんだろうなと思うよ。
 煙もうもうの酒場に幼児を何時間もおいといたら健康上よろしくはないだろう。夜遅い時間まで子供を起こしてそんなところにいちゃいかんだろう。酔っぱらってバカ話をしている大人を見せるのは教育的にどうよ(子供の頃、親類縁者があつまって酒盛りをしている風景を見るのは実にイヤなもんだったなあ)。有機野菜だ無農薬だと素材にこだわるのはいいが、日常のごはんでは気をつかってるんですかどうですか。
 と、いろいろなテーマが隠されているわけだ。そしてそのひとつひとつを検討して選択するのは親の権利であると同時に義務でもある。子供には選べないからね。

 和民の人はこういっている。

「たとえば、家族3人の家庭では、外食というと、まずお子さんにどこに行きたいか聞きますよね? すると、1番に挙がるのが焼肉で、次はお寿司といいます」

 3番目がファミレスで、4番目が居酒屋だそうだ。
 ってことは、子供にとっての四番人気の店にあえて来ている人たちというのは、特に「居酒屋に是非ともいきたいなあ」「今日あたりは刺身で一杯やりたいねえ」といっている子(そりゃあ渋すぎだろ)を持っている親か、子供の希望はどうでもよくて親が居酒屋に行きたいだけか……。どっちが多いんだろうね。
 子供の希望をなんでもきいてやれとはいわんよ。むしろきかないほうがいいだろうと、好きなものを食べるのはテメェで稼いでからにしろというのは正しいと思うよ。

 ただ、少なくともあなたが店を選ぶときには、子供のことを考慮にいれてやってほしい。子供が「居酒屋《に》行きたい」と思っているのか「(本当は嫌だけどパパ・ママが行きたがってるから)居酒屋《でも》いいよ」と思っているのか、それがわかる親でいてほしい。

投稿者 percent : March 12, 2006 02:22 AM | トラックバック (2)
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コメント

うーん「わかる親」・・・・自分はそんな出来た親ではないですね(反省)
居酒屋へ子供を連れて行ったことはありますね。
それは、自分がそこの焼き鳥を食べたいからでした(苦笑)
でも考えてみると他のお客さんに少なからずご迷惑をおかけする事ってありますよね。
気をつけよう。
まぁ自分がたらふくお酒を飲みたいって時は、子供を実家においてきて飲みに行ったりもします。
子供が居ると飲んでいても楽しくないし、全然酔えません。
まぁ、居なくても次の日を考えてしまい、ベロンベロンになるまで酔えませんけどね(笑)
ここのブログは勉強になります。

Posted by: ポン子 : March 12, 2006 08:55 AM

基本的に最近の「親」は、ガマンができないから自分の欲は満たすワケですよ。
乳飲み子がいようが、空気の悪い居酒屋へ
Go!ですよ。
パチンコだって、Go!車に置いておけばいいやって。
海外旅行だってGo!Go!ですよ。
そんなちっちゃい子、飛行機に長時間乗せたらかわいそう!って思いますよ。
大人だって耳痛くなったりするのに。
子どもが小さいうちだけ、ガマンしろと思いますけどねー。
話ソレマシタ、すみません。。。。

Posted by: emi : March 15, 2006 03:58 PM

どもです。はあ今日はあったかいですねえ。

★ポン子さま。
やー、反省だなんて。こんなとこで勉強してる場合じゃありませんよ。ま、いろんな考え方の人がいるということでひとつ。なにがひとつなんだか。

で、そのうえで個人的には上のように考えたわけですね。やぱし深夜のコンビニや居酒屋やオーセンティック・バー(一度見たのよ!)や超高級フレンチレストラン(行ったことねえけどよっ。ほっとけ)なんかに幼児児童がいたりすると、なーんか違和感ちゅうかイヤ感をおぼえてしまう。
それはなんでかというと、ひとつは「子供にとって不健康だろうがよ」という“地球と環境と子供にやさしい平和主義者な俺”な思考。もひとつは「テメ、俺が女口説こうってのに(居酒屋でくどいちゃいけませんねすいませんね)邪魔すんじゃねえ奇声発するんじゃねえ走り回るんじゃねえ」という“苦み走った男を目指しつつ血走った目をしている隙あらば足引っかけたろかっていう犯罪者一歩手前の俺”な思考。
どっち優先ってもんでもなく、そのときどきで変わる。親類縁者がそういうことしてれば前者だろうし、赤の他人なら後者だろうしというところもあるかも。まあ後者の場合は、目に入らず耳にも届かなければ平気っちゅうことでもありますがね。

★emiねえさん。
うん、基本的には我慢の問題なんだと思うデス。ま、近頃の若いモンは我慢を知らねえ、こちとらご一新のころからこっち、っていつの時代だ。浅田次郎か。
もとい。
最近の若い親がアレなのかその上の世代の親がアレなのか、はたまたそういう世代でくくれるものなのか、昔はそういう環境がなかったというだけなのか、理性と知性、羞恥心そういったものをすべてかなぐり捨てた野生味あふれるあなたがスキ(はぁと)なのかよくわかりません。
わかりませんし、個人の自由(またあの手の人たちは言うんだそういうこと)かもしれません。
だがしかーし。自分の自由のために他人に不自由を強いてはいけません。ここです。
そこ大事。テストに出るから。それだけ忘れなけりゃいいと思うんですよね。

で、本題に戻ると、乳幼児学童その他を居酒屋に連れて行くのは、自分の自由のために他人(まあ親子は他人の始まりとも申しますし)に不自由(健康的・教育的)を強いていることになりはすまいか、とかように思う次第でございます。そのへんももうちょっと考えるといいんじゃないかなー、と水曜にも思う次第でございます。パチンコしかり。
海外旅行はさらに「密室」「逃げ場なし」「安いし」「みんな行ってるし」「子供は泣くのが仕事だし(おめえの仕事はそれを止めることだッ)」「斎藤寝具店でい」等々のいろんな要素がからまりあいますからもっと大変。
昔ハワイでおもしろい話があったんですが、それはまたいつか。


つーか本文とおなじぐらい長くコメント書くのやめれ>俺。

Posted by: ぱと : March 15, 2006 04:28 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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