ここにひとつのサイトがある。《Bar Rumbullion》、ラムについて書かれたサイトである。マルティニークには足を運ばれたようで、蒸溜所の写真なども見ることができる。各産地のラムの歴史や特徴などの蘊蓄も、ここで得ることができる。
さて、これが発表されているのは当然のことながらインターネット上である。パソコンとネット環境があれば誰にでも読むことができる。あたりまえだ。調べたものを共有するという、Web本来のポリシーにのっとっている。
ここで紹介されているのは、バルバドス、プエルトリコ、マルティニーク、グアデループ、ハイチ、ジャマイカ、トリニダード、キューバ、ガイアナ(デメララ)のラムだ。どうやって調べたのか、それはわからない(できればそれも紹介されていればいいのにとは思う)。しかしこのラムについてのサイトには、ラムへの愛にあふれており、また、とっかかりの資料としてもすぐれている。こういったサイトが増えればいい、とも思う。
さて、近頃はブログブームである、らしい。猫も杓子もブログである。商売にも家族の記録にもブログである。全世界に発信し、ひろく感想を、あるいは意見交換を求めている、はずである。
個人がもつブログのほかにも、ビジネスとして、商売としてブログを公開しているケースも多い。この福岡でバーテンダーをやっているD氏のブログ《お酒をおいしく飲もう》はプロとしての活動なのであろうと思われる。各地のバーがさまざまな視点から発信し、それがまた新しい出会い――酒との――が生まれれば、それにこしたことはない。
が、気になることがある。それは“他者が書いたものに対する敬意”だ。
上記のサイトでいえば、《ラム》というカテゴリーである。
以下を見比べていただきたい。
たまたまラムの銘柄を検索していてみつけたサイトなのだが、あきらかにBar Rumbullionの記述を参考――というよりそのままコピー――している。これはいかんだろう、と思うのである。どんな些細なことであれ、自分がオリジナルとして書いたものでないのならば、出典を明らかにする。それが著作権というものだ。人さまの労を自分のものにしてはいけないよ、という精神なのである。
われわれはネットにおいては平等(のような気がする)。プロもいればアマチュアもいる。かっこつけてもつけなくても、それはその人の自由だ。しかし、誰かが作り上げたものを自分の手柄にしちゃあいけない。それだけはやってはいけない。
だから、わたしは、上記《お酒をおいしく飲もう》内の上の2つのエントリーに、Bar RumbullionのエントリーURLを併記して、出典を明らかにすべきではないか、というコメントをつけた。
数日後、わたしのコメントは綺麗に消されていた。おやおや、と思った。でもまあ自分の失敗をいつまでも残しておきたくはないだろう。私の指摘を受けてD氏は、指摘した2つのエントリー内で、コピーした部分については「以下はBar Rumbullion様のデータです。」「↑上記のデータはこちらより引用」というリンクを張って、出典を明示している。
えらい。
いさぎよい。
わたしは、ぶしつけなコメントに真摯に対応してくれたことを感謝したかった。そしてさらにあと3つばかり、Bar Rumbullionからの引用をつかっているエントリーがありますよね、と指摘しようと思った(いや、別にわざと時間をおいたわけではないのよ。いじわるでもなくて、単にチェックする時間がなかっただけです)。
すなわち下の3つである。どの部分がコピーかは実際にみていただきたい。
そしたらばあなた、コメント受けつけてくださらないんですね。いやあ、まいったまいった(笑)。だったらば、まあしょうがないから自分とこで書いておくしかありませんやなあ。(ちなみに個別のエントリーは削除されているが、「ラム」カテゴリーの中には残っているので、原文は読むことができる。いちいちお教えするほど私は親切じゃないけど、熱狂的なファンのかたがご注進されることでしょう。
念のためにいっておくが、私はこの福岡のバーテンダーさんには何の恨みもない。そもそも偶然、検索でみつけたサイトだし、そもそも毎夜飲み歩いてる身としては、お仕事だけでも大変なのに、そのあとブログ書いたりいそがしいだろうなあ、こういう人たちのブログを見て、オーセンティックバーに行く人が少しでも増えればいいよなあ、と思っていたのだ。シガーももっとはやって安くなればいいなあとも思うしさ。
だからなおさら、こういう対応は残念だなあと思う。
ネットに不慣れな人特有の過剰反応で、“うわっ、俺なんか変なヤツに目ぇつけられちゃったよ、今はやりの炎上ってやつかよ”(←違います)と思ってしまったのかもしれない。あるいはまあ客商売だから常連さんに見られたら恥ずかしいということなのかもしれない。
だけどもさ、要するに最初に書いたことなのだ。オリジナルの制作者に対する敬意の念があるかどうか、だ。消されたコメントに私はこう書いた(記憶を頼りに、だが)。
あなたがオリジナルカクテルを考案したとして、それをどこかの誰かが勝手に「わたしのオリジナルカクテルです」といって出していたら、あなたはどう思いますか?
このエントリーは、上記《お酒をおいしく飲もう》(ウェブ魚拓)の各エントリーにトラックバックする。最初から受けつけてもらえないかもしれない。受けつけても瞬時に削除かな。削除する前に、この記事を読んでもらえたらいいなあ。
それとも、IPではじかれたら、そもそもこのエントリーも読んでもらえないのかなあ。なんかのはずみで読んでもらえればいいなあ。
そう思っておるわけです。酒好きとしては。
【追記】
さきほど《お酒をおいしく飲もう》のDさんよりコメントをいただいた。詳細はコメント欄をごらんいただくとして、私の書いた、「コメント受けつけてくださらない」という記述は間違い(おそらく当方のネット環境かなんかのせい?)とのことでした。お詫びして訂正します。ごめんなさい。
まあアレだ、世の中にはいろんなことがあり、世の中にはいろんな人がある。それが基本だ。
世の中はおおむね二種類の人間にわけられるという。
節分の日に恵方巻を食べる人間と食べない人間。
俺は後者だ。
なかには幼少のみぎり──まだセブンイレブンがなかった頃──から太巻きを食べていたというおそろしい人もいる、らしい。信じがたい話だが、ほんとうだ、らしい。らしいというのは、その何年前だかわからない昔むかしの時分にわたしは生きていなかったからだ。というのは嘘でとっくに生きていたのだが、でも未確認だからね。未確認食物物体。UMASO。
しかし白沼に、ってどこだよATOK、知らぬ間に恵方巻文化は日本全国を席巻している。セブンイレブンには「ご予約承り中」の幟だかポスターだかが掲示され、人々は争うように予約し、入手している、んだろうと思う。デパ地下ではスペシャルな太巻きが飛ぶように売れている、のかもしれん。いずれはバレンタインデーを呑み込んで、チョコをいれた太巻きが製造されるに違いない。
と思ったらすでに。
いや、さすがにチョコは入れていないが、コンセプトとしてはそっち方向ではあるまいか。違うか。
節分商品にデザートが初登場!
「丸かぶりロールケーキ」を新発売〜1月18日(木)より全国で販売開始〜
セブン-イレブン・ジャパンのサイトにあるニュースリリースである。とりあえず見てきてくれ。
見てきた?
すごいっすよね。節分商品として、《丸かぶりロールケーキ》。なぜ。ロールケーキを一気食いですか。すごくノドにつまらせそうな気がしてならんのじゃが。
そういえば今年は「のどにもち詰まらせ死亡」という見出しを見かけないような気がするんだけど、「もち一気食い=危険」というコンセンサスが国民のあいだで醸成されてきたのだとすれば、そのせっかくの機運を台無しにする所行ではあるまいか。
「のどにロールケーキ詰まらせ死亡」。
なんだかシュールだ。なぜロールケーキをのどに詰まらせるのかと読んだ人は思うに違いない。
丸かぶり寿司と同じ大きさに仕立て、ふっくら焼き上げたスポンジにコクのあるクリームを合わせた本格的なデザートです。
ちょっと待て。丸かぶり寿司と同じ大きさにする必要があるのか? そういうコンセプトでつくったものを《本格的》と称してよいのか?
長さ約15cm×幅約4.8cmということだが、
丸かぶり寿司を食べた後のデザートとして、また、お子さまの丸かぶり用としてもピッタリな一品となっています。
恵方巻のあとのデザートっていうのが微妙だが、それはいいことにしよう。いっぱい食べる人もいるだろうし、もしかしたら「同じ形状のものをつづけて食べるのが無上の喜びなんです」という人もいるかもしれないし。
しかし、《お子さま》の《丸かぶり用》って……。恵方巻も丸かぶりするんでしょ? なんでロールケーキまで《その年の恵方(歳徳神の在する方位)に向かって》(wikipediaより)食べなきゃいかんのか。子供は「節分の夜は、なんだかしらんがひたすら一定の方向を向いて、長くて丸まってるものを食べねばならんらしい」と思いこむのではないか。「そうかこれは、長い物にはマカレナ、という教えなのだな」と誤解したらどうするのだろう。誤解したってかまわないけどさ。
でもほら、調子に乗ったガキ幼児が丸かぶりロールケーキをのどに詰まらせたり、虐待親が子供に強要してのどに詰まらせたりしそうだよなー。しねえよ。
もうアレっす。いっそのこと、恵方巻とロールケーキをつなげちゃうっていうのはどうですかセブンイレブンさま。なにがいっそのことなのかよくわからないが。合計30cmで途中まで太巻き、途中からロールケーキ。連結巻。ぶっとい胃カメラみたいで、想像するだにイヤですけど、面白がる連中もいることでしょう。
製品化の際にはアイディア料ちょうだいね。