読むほうも飽きてきたと思うが、書くほうも多少アレなので、これで最終回だ。そのうちまた集計してみるかもしれない。今回、1本や2本しか見なかった書き手にも、隠された才能やら魅力やらがありそうだしな。
というわけで、最後は3本の記事を書いていた、(イ)氏と(虎)氏をピックアップ。
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(イ)さんは、純情というか純粋というか、悪く言えば能天気なのが持ち味の人だ。
『アンビリバボー世界No.1スペシャル!!』(フジ 11/11)
スペシャルである。アンビリバボーである。これまたビックリ人間大集合みたいなものです。こうしてみると各局、似たような番組がほんとに多いね。って俺が番組評してどうする。
(イ)さんの感想はこんな感じ。
え、そんな人いるの。実際に見てみたいと思わせる。大道芸的パフォーマンスは芸能の原点だ。それを伝えるテレビって、やっぱり魔法の見せ物箱だ。
魔法の見せ物箱、かあ……。ふー(遠い目)。本気で書いてます? つーか、あんたはテレビ放送始まったばかりの時代の人ですか?
『火曜サスペンス劇場「刑事鬼貫八郎(17) 炎の記憶」』(日本 11/30)
普通の2時間サスペンスですがね、(イ)さん冒頭でいきなり語ります。
「無理しないで」「休んだら」と心配してくれるのは家族ぐらいだ。刑事に限らず、仕事に忠実であればあるほど家族の視線は冷たく、理解を得るのは難しい。
(イ)さんは仕事熱心なんですね。でもいちおう家族は心配してくれるんですね。仕事に忠実な自分と家族に心配される自分、どっちも大切なんでしょうね。自慢してるんですかね。
『メレンゲの気持ち特選「石塚英彦あったか料理食べつくし!」』(日本 12/2)
これまたバラエティ。食いしん坊系ですね。
ほれぼれする食べっぷりだ。食は楽しくだなと思う。腹立たしくなってくる人もいるかも。胃袋も心配。石ちゃんには、食べ物の知識やマナーもわきまえた食の名案内人になってもらいたい。くれぐれもお大事に。
字数制限のせいか、やたらぶった切りの最終段落。「食は楽しくだなと思う」って「楽しく食べるのが一番」とかでもいいのでは。同じ10字だし。しかし腹を立てる人もいるかも。かもって。どっちやねん。石ちゃん、ってお友達なんかい。お大事にってお医者さんかよ。
この人の明るさ、あんまり好きじゃないです。
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つづいて(虎)さん。
この人、3本のうち2本は、どうってことないのです。保険をテーマにした生活の知恵系バラエティで《「よーく考えよう」とご丁寧にもCMで流れているのだから。》(『発掘!あるある大事典II』[フジ 11/28])などというおちゃらけをしてみたり、温泉旅館を舞台にしたドラマで《高級旅館が舞台なのに、仲居たちが客の目につきそうな所ではしゃいでいるなど違和感も。》(『温泉へ行こう5』[TBS 12/1])などと、しょうもないところにツッコミを入れていたりするぐらいだ。
でもね、残る1本が強烈なんですよ!
『Dr.コトー診療所2004』(フジ 11/12)
2003年の連続ドラマのスペシャル版。ふつうに舞台設定を説明し、ふつうにあらすじを披露する(虎)さん。しかし最後は、あふれる情熱をおさえることができなくなる。
寄り添い、支え合い、時には突き放すことの大事さを、まぶしいほどに輝く自然を背景に、ぜいたくなほどの余韻とともに見せる。妻や夫、親や子、友や恋人。すべてに感謝したくなる。
どうよ、これ。
唐突すぎ。まあ確かに、離島医療にたずさわる医者が主人公で舞台はどっかの島で、おそらく空も海も綺麗で、島の人たちは頑固者もいるかもしれないけど根はいい人たちで、都会で薄汚れた空気を吸いながら、人間関係にも疲れたりしてる(虎)さんとしては、いろいろ感じることがあったのでしょう。見てませんけど俺は。
試写ビデオを見て、思わずじーんとして、いいなあ沖縄(が舞台なのかどうか知りませんけど)休みとって行ってこようかな……と(虎)さんは思ったのかもしれない。想像だけど。
しかしそれにしても唐突すぎじゃないですか? 夫婦親子友人恋人、なんでも並べればいいってもんじゃないでしょうに。兄弟姉妹の立場は。祖父母や孫はどうした。血縁だけじゃなくて、恩師とかもいるしさ。《ほどに》《ほどの》とひとつの文のなかで連発してるし。落ち着け、(虎)さん、深呼吸しんこきゅう。
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と、まあ今回は4人の「朝日新聞テレビ欄〈試写室〉執筆者」を取り上げてみました。最近はすっかりテレビを見る時間が減った私ですが、テレビ欄は毎日眺めています。短い番組紹介はさほど気にもとめませんが、ひときわ大きく囲まれた記事にはどうしても目が行ってしまいます。
きっと、注目するに値する好番組、感動を与えてくれるエキサイティングなドラマをピックアップしているに違いない、と思い込んでいました。今回約1か月分をまとめて読むまでは。
誰が書いているのか――性別、年齢、経歴もわかりません、が、そこには確かに書き手がいる。いるっていうより、「おーい!」と大声で叫びながら手を振ってる。なんだ、そんなとこにいたんだ。って、誰おまえ。
しかし、そういう、埋もれそうになりつつも精いっぱい(でも上司とかエライ人に叱られない程度に)自己主張する、知られざるテレビ評論家たちに、たまーに注目すると面白いかもしんない。と思いました。よろしかったら、あなたもどうぞ。
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(2004.12.17)
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