0.3%の雑文[009]
(岩)さんのつぶやき  ――知られざるテレビ評論家たち(3)

 調べた中で個人最多4本の記事を書いていたのは、(西)()()の3氏だ。しかし()さんは、これといった特徴のない、無難な――ある意味つまらない――記事なので割愛。今後の活躍に期待したい。
 今回注目したいのは()さんだ、とうぜん心の中では「ガンさん」と呼びたい。
)さんは、バラエティ、ドキュメンタリー系に関心があるようだ。今回はそれぞれ2本ずつ。
 彼の魅力はその「つぶやき」ぶりにあるといえよう。

『ガイアの夜明け「復活する土地神話」』(東京 11/9)
 見たことない番組だが、《バブル経済崩壊後の「日本の回復」に焦点を当て、人の動きや新しい潮流を探る》のがコンセプトらしい。まあテレビ東京の“日経的”な分野ですね。
 番組の今回のテーマや取り上げた人物について説明したあと、()さんはこう締めくくる。

ビジネスライクな「もうけ話」の中に、人の思いが交錯していると感じた。

 感じたそうだ。とりあえず言っとくか、っちゅうような感想だな。土地だのカネだのに血道を上げるのは、ガンさんの美学としては「ちょっとな……」なんだろう。知らないけど。

『銭形金太郎初回SP超強烈ビンボーさん!最強極貧生活バトル』(朝日 11/10)
 しかしこのタイトルの下品なまでの長さはどうだ。しかもこのバラエティのテーマは貧乏生活、すなわちカネだ。バブルがどうしたこうしたの番組を紹介した翌日がこれだ。()さん苦虫をかみつぶしていると思う。
 でもまあ仕事だし、と番組を紹介する。紹介するっつったってタイトルから想像されるとおり、貧乏自慢を紹介するたぐいのショーだけど。

お笑い芸人が自宅を訪れ、暮らしぶりに切り込んでいく。ユニークな食生活や住空間などに驚きの連続だ。

 バブリーな金もうけ話も「ちょっと……」だが、あまり貧困すぎるのにも引いちゃうガンさんだ。

 将来は歌手や役者にと、追いかけている夢は熱い。ただ、芸能関係を目指す人に偏っている感じがした。ビンボーの理由に広がりがあるともっといい。

 こんなくだらない(見てないのに断言してしまいますが)番組に、出演者の偏りだのビンボーの理由だのを追究してどうすんですか()さん。

『ワールド・レコーズ!!』(日本 11/14)
 またしてもバラエティである。びっくり人間大集合系といいますか、特異な能力(視力6.0とかトラックのドリフト駐車とか)を持った人々を紹介する番組。
 そんな番組にも()さんは容赦しない。

メーンのコーナーが二つしかないのは物足りないが、世界に眠る「逸材」発掘に今後も期待したい。

 ほんとですか()さん。ほんとに今後を期待したいんですか? もっと気楽に見たほうがいいんじゃないですか、この手の番組は。

『地球ドラマチック「地球から消えた動物2」』(教育 11/18)
 英国テレビ局(ってBBCのこと? でもBBCなら英国国営放送っていうか。なんなんだろ、単に英国のテレビ局ってことか?)制作の番組を紹介するのは、なんか違うんじゃないの、という気もしないでもない(テレビ局が制作したものを“試写で”見て取り上げるのが正しい「試写室」なんじゃないでしょうか。別に、これはおもしろいよ、ってことだからいいのかな)が、とにかく教育テレビ、自然系ドキュメンタリーだ。
 サーベルタイガーのCGがすごいし《知的好奇心をかき立てるには充分だ》と褒めている。しかし()さんの本領はこのあと、最終段落にある。

 このシリーズは今年7月の続篇で、毎回違う動物が登場する。環境に適応できず滅びるっていう教訓は、遠い将来の人間のことも暗示しているのかな。

 のかな、って……。
 しかも《遠い将来の》人間って微妙に断言を避けているし。そんなことで逃げ道作ってどうすんすか、()さん! 昔のガンさんはそんなじゃなかったすよ! 我々人類も、環境に対応できないと滅びるのだ、って言い切ってたすよね! いや、それも微妙に違う気がするけど。ガンさんなら、人類が改心しないと滅びる動物がもっと増えるぞ、と警鐘を鳴らしてたかもしれん。
 なんかね、やる気があるんだかないんだか、言いたいことがあるんだかないんだか、そういうファジーなところが()さんの魅力だと思います(そうか?)。

 あとは誰がいるかなー。

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(2004.12.17)

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