April 17, 2005

ゆがんだ親子関係

子離れしろや」で取り上げた横峯さくらが、初優勝。

さくら逆転で悲願の初V/女子ゴルフ(日刊スポーツ)

 ええ、まあそれはいいんです、おめでとうです。よくわかりませんが、なにしろ優勝するっていうのは大変なことに違いありません。でも残念だったのは、あの父親がキャディーをつとめていたということ……。
 上と同じ日刊スポーツにはこんな記事も。

さくら父良郎氏「もう一人前」/女子ゴルフ

そのビクトリーロードには、さくらと良郎氏の晴れやかな姿があった。「さくら、これがゴルファーの最高の快感なんだ。18番(パー5)は、おまえなら楽にバーディーがとれる。おまえが勝者だ」。良郎氏がささやきかけた。

 「もう黙ってて、と言いたかった」と横峯は笑った。16番(パー3)を終わって「ボードのスコアはもう言わないで」と、娘が父に頼んだ時点で、横峯は勝利を確信していた。「先週(3位)の悔し涙を、絶対にうれし涙に変える」。

 なんとなく、すごく本気でいらついていたんだろうなあと思える。《もう黙ってて》なんて生易しいものではなく、心の底では《黙ってろこのクソオヤジ》ぐらいのことは思っていたのではないか。

「この優勝はおれのおかげ。ありがとう、と言え」と父が言えば「技術的には何も教えてもらっていない」と娘が返す。良郎氏はこの優勝でキャディーを辞めるという。「もう一人前。すごいやつだ」と小声で言ったが、誇らしそうな響きがあった。

 これもなにやらすごい。冗談めかしたやりとりだけれど、父親はおそらく本気で《おれのおかげ》だと思ってるのだろうし、娘は娘で《あんたのおかげじゃない》と思ってるんだろうな。しかしそれをあからさまに見せてはマスコミの好餌になるだけだし(かといって上のようなわざとらしい会話だって取りざたされてしまうのだけれど)。


 日刊スポーツでは横峯さくらのブログもやっているので、当然そんな揶揄みたいなことは書かないだろうけど。でもそのブログに父親が書き込んで、笑いものになっていたりもするわけだが……(〈横峯さくらブログ:2005年3月3日/俺に聞け!(父より)〉参照)。あー。笑いものというのは言いすぎか。批判的なコメントと好意的なコメントと、半々ぐらいでしょうか。
 その他のスポーツ紙などで見てみても、そんなにあからさまに「このオヤジ変!」という記事は見つかりませんけどね。まあゴルフを観たりやったりする人たちの年齢層を考えると、父親よりになっても仕方ないのか。
 しかししかしそうはいっても、俺としては、なんとも気持ちが悪いとしか思えない。がんばった横峯選手には悪いが、父親がキャディーしてるときには成績が悪くて、そうでないときに優勝したら愉快だったのになあと思う。
 サンスポの3月7日の記事にはこうある。

★さくらと良郎さん

 良郎さんは、ゴルフを始めたさくらら3人の娘のため、自宅を売り払って鹿児島・鹿屋市内の山を切り開き、手作りの練習場を作った。アマ時代には遠征費を節約するためキャンピングカーにともに寝泊まりしながら全国を転戦し、良郎さんがキャディーを務めた。しかし、自立を目指すさくらは、良郎さんに“キャディー解雇”を通告するなど、日頃から口げんかが絶えないが「お父さんの言うことが合ってるからムカツク」。けんかするほど仲のいい親子です。

 子供のために自宅を売り払ったのかよ。
 なんというか別の意味で痛々しいな。全然えらくないですよお父さん。自分じゃ「娘のために人生のすべてを投げ出してる俺ってすげえ」とか思ってるかもしれませんが。全然すごくない。

 ああ、なんでこの親子が(というかこの父親が、だが)こんなに気持ち悪く思えるのだろう。彼自身がプロゴルファーだったとしたら――たとえば元関取の持っている相撲部屋に自分の息子を(弟子として)入門させるようなケースであれば、多少印象は違っていただろうと思う。
 どうも、イチローの父親が子育て論をぶち上げたり、松井秀喜の父親が演歌歌手とデュエットしてCD出したりするのと同じようなイヤさがたまらない。
 スポーツであれ芸術であれ、自分の子供にきっかけを、チャンスを与えた、それだけでいいじゃないか。
 なぜその子供の名声を利用してじぶんを偉く見せなければならないんだろう。なぜハタチ近い子供のあとにまとわりついて、ああだこうだ〈指導〉しなければならないんだろう。ほんと、わからん。わかりたくもないけど。

投稿者 percent : April 17, 2005 11:31 PM | トラックバック (0)
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コメント

追記です。
翌朝の朝日新聞では、《父・良郎さん「キャディー引退」子離れ宣言》(http://www.asahi.com/sports/golf/TKY200504180110.html)という記事も出ていました。まずはよかった、といっていいのかな。これで独り立ちして、なおかつ強くいられれば、おそらくどちらも幸福でいられますね。落ち目になったりするとまた父親がしゃしゃり出てくる、ってのは想定内、ってことで(笑)。

Posted by: ぱと : April 18, 2005 04:20 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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