0.3%の雑文[007]
「試写室」とはなにか  ――知られざるテレビ評論家たち(1)

 みなさんは、新聞のテレビ欄をどのように利用されているだろうか。ふつうに番組表だけ見る? 番組紹介欄もチェックして、どれを見るかの参考にする?
 朝日新聞の番組紹介のなかでいちばんスペースをとっているのが朝刊の「試写室」というセクションだ。番組のスチール写真も使用していて、他の番組が10数行ぐらいで紹介されているのにくらべ、「試写室」は約25行。破格である。
 そしてなにより、このコーナーの特徴は、記事の末尾に執筆者の頭文字がついていることだ。ほかの紹介は、おそらくテレビ局広報からの配布されている〈出来合い〉の記事なんだろうと思う(そのへんのシステムはよく知らないけど、誰かのエッセイでテレビ局の制作現場から外されて、番組紹介記事を書かされた、というのを読んだことがある)。
 しかし「試写室」は(たぶん)違う。番組欄担当の記者が(たぶん)精魂を込めて書いたものなのだ。試写室っていうぐらいだから、あらかじめ番組を見て、これぞ、という番組を取り上げるのだ(たぶん)。もちろんそこはおとなの世界だから、汚いカネのやりとりやら色仕掛けがあるに違いない(ないか)。
 新聞を捨てるついでに、思いついて朝日新聞(東京版)「試写室」を切り抜いてみた(2004年11月6日から12月2日まで)。そして、ふだん注目されることのないテレビ評論家たちに注目してみたのだった。ホリイのずんずん調査か。暇なのかオレは。

 計27日分、27篇の記事を分析してみると次のようになる。

とりあげられた番組
NHK総合3本
NHK教育2本
日本テレビ7本
TBS3本
フジテレビ5本
テレビ朝日5本
テレビ東京2本

 朝日新聞だから系列局のテレビ朝日がだんぜん多いかと思ったら、そうでもない。日テレのほうが多い。

番組の種類
ドラマ10本
バラエティ8本
ドキュメンタリー8本
アニメ1本

 おおざっぱに分類してみた。適当だ。なんとなく雰囲気でわかってほしい(「真剣10代しゃべり場」なんて、どっちかっていうとバラエティみたいな気もするが、真剣だし教育テレビだし、ドキュメンタリーのほうに入れてみた)。やっぱりドラマが多いですね。
 しかしそんな分析をしてたって面白くもなんともない。

執筆者名
(西)4本
(来)4本
(岩)4本
(イ)3本
(虎)3本
(康)3本
(羊)2本
(志)2本
(洋)1本
(福)1本

 なんと10人。と、とりあえず執筆者の数におどろいてみよう。番組欄って、文化部とかそういうところの管轄になるのか。ラジオ・テレビ欄だけで1つの部署ってことはないだろうな。よくわからないけどさ。まあいいや。とにかく10人だ。
 書き方は、だいたい似たような形式。25行のうち20行弱が番組の紹介。ドラマならあらすじ、バラエティ・ドキュメンタリーならテーマやら注目すべきポイントやら。残りの5行が評者の感想(意見だったり苦言を呈していたり提案してみたり)。たまにこのパターンから大きく逸脱する場合もあるけれど、ほとんどが伝統にのっとっております。

 では、評者によって特徴があるのであろうか。私は、人別にまとめて目を通してみた。こんなことするヤツいないよな。でも以外と面白かったぞ。この月1本しか書いてない人は注目のしようがないんだけど、何本か書いている人のをまとめて読むと、その人その人のスタイルがみえてきたりもする。

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(2004.12.14)

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