February 17, 2006

本屋大賞

 2006年の本屋大賞のノミネート作品が発表されたそうだ(決定は4月5日)(なんだ1月のうちに発表されてたんですね。わたしゃアマゾンのトップページで気がつきましたよ、とほほ)。
 ええと、今、一次通過ってことらしいが、要するに最終候補だよね? このなかから投票で本屋大賞が選ばれるんだし。二次投票とか書いてあると、じゃあ三次もあるのか三時のおやつは文明堂なのかなどといろいろ気になってしまうのだが。

 候補作は本屋大賞サイトで確認できるが、こんな感じ。

  • 伊坂幸太郎 『死神の精度』
  • 伊坂幸太郎 『魔王』
  • 奥田英朗 『サウス・バウンド』
  • 桂望実 『県庁の星』
  • 重松清 『その日のまえに』
  • 島本理生 『ナラタージュ』
  • 西加奈子 『さくら』
  • 東野圭吾 『容疑者Xの献身』
  • 古川日出男 『ベルカ、吠えないのか?』
  • 町田康 『告白』
  • リリー・フランキー 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

 ふーん。
 読んでいない『ナラタージュ』『ベルカ』『告白』についてはわからないが、ほかの候補作をみても、つまらんラインアップだなあという感想しかない。いや、作品が、ではなくてこの賞の対象作品として。

 伊坂幸太郎がなんで2作品なのか。両方人気があったってことなのか。まあいいけど。でも今さら「これを売りたい!」って思わなくても売れてるのでは?
『県庁』についても織田映画化で話題になってるから、ほっといてもある程度は売れるでしょう。公開して1年ぐらいでテレビで放送して、そのころには文庫にもなって。
 重松清も、そりゃ泣けるっちゃあ泣けるが、もうベテランだし堅調ですし。うまいなあとは思うが、みんなに知って欲しいというレベルではなかろう。
『さくら』、つまんないじゃん。俺は全然うけつけなかったけどなあ。それに、売れてるんでしょ?(20万部だってさ) 
 現時点ですでに3冠だか4冠だかの『容疑者X』にあげたいってのもわからない。5冠王6冠王とかめざすんですかね。
 売れ行きでいえば『東京タワー』。これ以上売ってどうするのか。っつうかあれ、おもしろいか? 小説としてはできそこないじゃないのか?
 とすると、俺が納得できるのは『サウス・バウンド』くらいなんだが、しかし奥田英朗の知名度はじゅうぶんありそう。でも、分厚いからと手を出しかねている人がいるかもしれないので、そういう人の背中を押してあげるにはいいかも、ぐらいな感じで。

 本屋大賞って、サイトには《全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本》ってあるわけですが、すでに売れている本をえらんでどうするんだろ。累計部数15000部未満とか、デビュー5年以内の作家とか、条件を限定したらいいんじゃないか?
 このままだと、単に、今売れてて儲かってますんでお礼の意味も込めましてオメデトー、な賞になっていくだけのような。だったらいっそのこと実売部数で決めりゃいい(某宗教関係書籍がつねに上位を占めることになりそうだが)。
 
 もうちょっと地味で無名で、でもいい作品(とその作者)を“売って”あげてほしいなあ。
 でなけりゃ商売に徹して、いちばん売りやすい本、ってことで選んでください。なんだかこの賞のいやらしさが、最近ちょっと鼻についてきた。
 以下で、大森望氏・豊崎由美氏が(昨年の)本屋大賞について対談しているんだけど、私としては全面的に納得でした。ご参考までに。


投稿者 percent : February 17, 2006 03:25 PM | トラックバック (0)
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コメント

そうなんですよ。
売れてる本を並べてるんですよ。
本屋さんならではの目線が感じられないというか。ツマらないですぅ。
「東京タワー」は小説としての完成度は、ダメダメです。
が、リリーが書いたと言う意味での評価が
あるんでしょうねー。
ワタクシ「東京タワー」読んで号泣ですが、なにか(・∀・)

Posted by: emi : February 17, 2006 05:12 PM

わはは。まあ感想はひとそれぞれってことでひとつ。
リリー・フランキーのエッセイはおもしろいし、好きなんですけどねえ。「東京タワー」はなー。
ま、百万人が泣いてるわけですから、ひとりやふたりヘソ曲がりがいても許してください。
こそこそ悪口いうだけですからハイ。日本語を一から勉強しなおしてこいとか小説でくの字点つかうなとか五月の人の説教パートは全部とっちまえとかリリー・マザコンスキーとか言いませんから(言ってるっちゅうに)。
しかしほんと、検索してもヘソ曲がりな感想が全然みつからないよー。しくしく。

Posted by: ぱと : February 17, 2006 05:21 PM

書店員を「本読みのプロ」だと決めつけることが
そもそも間違っているとわしは思う。
たとえば八百屋が、あるいは魚屋がグルメだとは
限らないことと同じであろう。
利口ぶるなと、毒舌家としては言っておく。

Posted by: P柿 : February 17, 2006 09:22 PM

にゃるほど。
たしかに勧めてもらうなら舌のしっかりした人のほうがいいですな。
まあお祭りで和気藹々とやってるぶんにはかまわんと思うんですがね、大々的に宣伝したりNPO法人にしたり(なんで? Non-Profitだから? でも最終的には商売のためじゃないの? いや、それが悪いとはいいませんよもちろん。ビジネスであるからこそ質の高い作品がうまれてくるわけですし)、どうもイヤな感じがしてしまうんですよね。

Posted by: ぱと : February 17, 2006 10:54 PM

>くの字点つかうな
>五月の人の説教パートは全部とっちまえ

あははー。
ほんと、その方がよい!

>リリー・マザコンスキー

これは、リリー氏が聞いたら、笑って喜ぶかもしれないっすねー。(笑)


「本屋大賞」も、やっぱり販促の一つだと思います。
「えー、そこかっ!」みたいなの欲しいですよね?(^.^)
本屋でバイトしている子も
「あちこちでさんざん取り上げられて、バカ売れてる本をノミネートしても意味あんのか?」って
言ってました。

Posted by: emi : February 21, 2006 12:43 PM

販促なら販促で、徹すればいいのに……。
というか、ほっといても売れる商品に販促かけるって、どういうんでしょうねえ。

Posted by: ぱと : February 21, 2006 06:00 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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