August 06, 2005

救う必要があるのか?

 新聞の第1面の三八(下から3段分のスペースを8等分している出版広告。“さんやつ”と読みます)にはときどき面白そうな(けど絶対買わない)本の宣伝が載っています。8月4日の朝日新聞には、吉川弘文館、大学書林、すばる舎、東京創元社、ごま書房、三五館、家の光協会、保険同人社の広告がありました。面白かったのはこのへん。

●大学書林
古典ラテン語辞典』36750円もします。『ウルドゥー語辞典』こっちなんか63000円だ。やはりラテン語のほうが需要があるのか。まあラテン語もウルドゥー語も、その存在は知っていたけれど、しかし『エウェンキ語への招待』(4725円)はそういう言語があることすら知らなかったぞ。《ツングース語の代表的な言語》らしいです。

 しかしそんなものよりも、だ。

●すばる舎
我が子をニートから救う本』(1680円)。これはどうだ。サブタイトルに「ニート或いはニートの予備軍の親たちへ」とあります。《目標を見失った我が子を立ち直らせるのは親しかいない!》《多くのニートやその親たちと向き合ってきた人気キャリアカウンセラーが、ニートの気持ちを理解し、無理をさせずに自立させる方法を具体的に教えます!》ですと。
 なんだかなあ。いっちゃ悪いが、ニートにさせたのは親だってところもあるんじゃないですかね。なにしろ養ってあげてるわけだ。ハタチになったら(18でも22でもいいけど)おまえの面倒はみない、自分で食いぶちは稼いでこいって言えばいいのに。よくわからんよ。すごいね親って。救わなくてもいいんじゃないかと思ってしまうのだが。そもそも《ニートから救う》って日本語としてどうなのかとも。無職・無教育・無求職から救うって、変じゃない?
 親子がらみではもう1個。

●三五館
【決定版】わが子のうつ病を治す方法』(1365円)というのも。《いくつになっても、わが子はわが子――》《わが子に年齢はありません。「最新決定版」親の心得帳!》。まあこれは病気の話だからねえ。もっとも、ウチの子に限って、と自分の子供が鬱病であることを認めようとしない親もいるらしいので、こういう本でも読もうとする親きょうだいはマシなほうなのかも。だけど“いくつになっても”とか“わが子に年齢はありません”とかいった煽り文句には、いやーなものを感じてしまうのであった。

投稿者 percent : August 6, 2005 10:10 AM | トラックバック (0)
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コメント

むかし世話になっていた会社で、上司の人に「なにかおもしろい本はないですかね」と言ったら、スウェーデン語辞典をさし出されたことを懐かしく思い出しました。
じゃなくて(笑)
ニートの本ってどういう人が買うだろうね。
ニートの対象年齢って15歳から32歳くらいの人のことだっけ? 15歳と32歳じゃずいぶん対応がちがうような気がするんですが。そう思うと、ちょっと読んでみたくなるよね。

Posted by: P柿 : August 19, 2005 12:17 PM

ニート「から」救う、っつうのがなんともね。我が子を借金地獄から救う、とか、我が子を出会い系サイトから救う、とか、いろいろできそうです。
ああそうか、やっぱりアタマに「我が子を」とついているのがイヤな感じなんですな。お父さんをリストラから救う、とかだと多少マシな気も……しませんかね(笑)。

Posted by: ぱと : August 22, 2005 06:03 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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