March 16, 2005

ゆとり

「ゆとり」見直しに賛成78% 本社世論調査(asahi.com: 暮らし)

 なんかasahi.comのレイアウトがかわりましたね。まだ慣れないんだけど。ま、それはさておき。
 ええと、朝日新聞が調査しましたとさ。ざっと抜粋していくと……。

  • ゆとり教育を見直すことに賛成の人が78%
  • 土曜日を休みにした学校週5日制には、62%が反対
  • 「ゆとり」の象徴的存在である「総合的な学習の時間」(総合的学習)を減らして主要教科を増やすことにも、51%の人が賛成
  • ゆとり教育の目的だった「生きる力」を育てる役割を学校に「期待する」と答えた人が66%(総合的学習を削って主要教科を増やすことに賛成の人でも、64%)
  • 今回の調査でも、79%が「学力は下がっている」と認識
  • そのうち約6割は「主に学校教育に原因がある」
  • ゆとり教育の柱の一つである学校週5日制への賛成は27%止まり
  • 女性の賛成は21%しかなく、男性よりも否定的
  • 総合的学習を削って国語、算数など主要教科の時間を増やすことをめぐっては、賛成51%(反対33%、ゆとり教育見直しに賛成の人では、賛成が6割近く)

 はあ、そうですか。ちなみに産経新聞の電話調査では、「ゆとり教育」見直しに賛成が75.1%、反対が10.3%、「どちらともいえない」が13.8%ということで、だいたい同じぐらいです。
 いや、なんかあまり現実味がないんだけどね。なんかまとめているようでいて、わかりにくくしてあるような感じがしてならんのですが。割合やパーセンテージを出しているところ拾うと上の抜粋みたいになるんだけど、なにがいいたいのかなあと。
 世論調査をした。8割ぐらいの人が、学力下がってるみたいだし、「ゆとり教育」は見直したほうがよかろう、と。でも6割ぐらいの人は、学校は「生きる力」を教えてやってねと思っていると。
 生きる力ってなに?

 


 ほんと、よくわかんないんだよ。
 この調査に答えている人というのはどういう人たちなんだろうか。子供を持っている親に限定しているんだろうか。若者や老人も含めているんだろうか。おそらく男女年齢職業関係なしにランダムに選んでいるんだろうとは思うけど。
 ゆとり教育、失敗でした。あたま悪くなってるみたいだし、国語算数とか基本的なところをしっかり押さえようよ、って思ってる人が半数以上いるってことなのかなあ。週休二日制なんかやめて、もっとつめこみ教育したほうがいいんじゃないのと。
 でも「生きる力」は教えてね、と。生きる力って何なんですか。「ゆとり教育 生きる力」で検索してみても2月の中央教育審議会の様子とか他紙の電話調査の結果とかばかり。
 かろうじて、毎日の中教審:指導要領、俎上にという記事に、

「自ら学び考え、判断する力(生きる力)の育成」

 という記述があるので、きっとこれのことなのでしょう。生活力みたいなことかな。
 で、それを学校教育に期待する、と、そういうことですか。

 なんかそれって違ってないか?
 今の教育がいいか悪いか、文部科学省が正しいか正しくないか、教師の質が上がってるか下がってるか、そういったことはひとまず措いておく。それはそれで重大な問題だし、よくよく検討しなきゃならない問題(それこそ子供を学校に送り込む――送らざるをえない――当事者である親たちがイニシアティヴをとって、だ)ではある。
 しかしですな、自分で考えて判断する、っていうことまで学校に押しつけていいのか? それは小学校に入れるまえに、親が教えてやるべきことなのではないのか? モノゴトの善し悪し、こういうことやったらお友達が嫌がる、遊んでくれる子がいなくなる、あげくに社会から白眼視される、ってことはまず親が教えることなのでは。
 教えるとしても、まあ限度はありましょう。学校ってのはそこらへんをフォローすることはあっても、主眼は《学力・体力をつける》ってところにあるんだと思うんだけどなあ。
 いや、千歩ぐらい譲って、学校でも生活力(どう金を稼ぐかではなくて、ふつうに生きていくために、どう理論づけて考えていくか)を教えるべきだってことにしましょう。でも、その子供の保護者に確固たる哲学がなければ、学校でいくら教えても無駄だと思う(まあ逆に、たいへん不道徳的な方向で確固たる主義主張をもっている親に育てられたりすると困るけど――子供が万引きしても親が何も感じないとか、それどころか親が子供に命じて万引きさせたりとかね)。
 もしも今の親たちが、昔なつかしい「つめこみ教育」にシフトすれば子供の学力が上がるだろう経済も復調し日本の未来は安泰になるだろうと思っているのだとすれば、それは大きな間違いだ。「つめこみ教育」時代は、とりあえず親はいわゆる「生きる力」教育は自前でやっていた(人が多かったように思う。まあ個人weblogなんだからいちいち“個人的意見だが”“個人的経験によれば”なんて書くのもばかばかしいのでもう書かないが)。ごく低レベルなしつけから、子供の将来についての提言まで。その当時、ほんとうに「ゆとり」はなかったのか。
 教文家庭教師会というところに掲載されている中教審・答申(2003年10月7日。提供は旺文社・教育情報センター)によれば、

<30 年前から始まった「ゆとり教育」>
昭和40 年代、教育内容の向上と現代化が図られる中で、第1 次ベビーブーマーの受験競争激化とそれに伴う「詰め込み教育」に対する弊害が指摘されていた。
まず昭和47 年、知識の習得のみにとらわれず、学習指導要領の内容を一部精選するなど、教科指導や教科書の取扱いの適切な配慮を求めた。さらに、小・中学校は昭和52 年、高等学校では昭和53 年の学習指導要領改訂を機に、いわゆる「ゆとり教育」に転換した。
その集大成ともいえる今回の新学習指導要領(小・中学校は平成10 年、高等学校では11年に改訂告示)は、「[ゆとり]の中で[特色ある教育]を展開し、自ら学び、考える[生きる力]を育成する」ことを目標に掲げている。

<戦後最大級の“ゆとり教育”>
新学習指導要領は、完全学校週5日制に合わせ、小・中学校では学習内容をほぼ3割削減した一方、高等学校も含めて各学校の裁量が生かせるように大綱化を図り、現場の創意工夫を生かす「総合的な学習の時間」(小学校3 年生以上で必修)を創設したのが大きな特徴である。
高等学校では、卒業に必要な単位を80 単位以上から74 単位以上に、必修教科・科目も普通科で最低38 単位から31 単位に減らして戦後最低となった。因みに、昭和35 年告示の学習指導要領では、科学技術教育の向上などを唱え、必修単位数は過去最高の68 単位であった。また、学校が独自に設定できる科目や教科(学校設定科目、教科)も、これまで設置者(県立なら県教委)の権限だったが、学校の判断でできるように改めた。
学習指導要領の全面改訂は戦後6回目になるが、最大級の“ゆとり改訂”といえる。

 てな具合だ(ちょっと長いな)。
 きっともうすごかったんでしょうな。詰め込み。受験戦争ってぐらいだから勉強を苦にして死んだ子供も続出したんでしょう。いかんよいかん、これじゃいかん。ってことだったのかどうかは知らないが。
 でも案外バランスがとれてたんじゃないかって気もする。日本人には適度な詰め込みが合っていたのではないかとも。むろんその尺度に収まり切れない天才肌の人たちはいたし、どんどん頭脳が海外流出していったんだけどね、でも大多数の人間はそんな天才は持ち合わせていないわけで。だから親の理性さえあれば、学校で詰め込まれていても、なんとなくバランスがとれていたんじゃないかと思えるのだ。詰め込み教育を受けていても「おめえそんなに勉強したって、身体こわしちゃしょうがねえぞ」みたいなこととか、逆に、「勉強しないで将来苦労するのはあんたよ」とか(今ならさしずめ「いい会社入ったっていつ潰れるかリストラされるかわからん。それより手に職をつけろ」とかね)。
 それでも時代の変遷により、受験戦争が鎮まることもなくますます加熱したり責任感のない親が増えたりしてきて、あげくに「ゆとり教育」だったわけだ。
 まずは親の「ゆとり」――赤ん坊を車内に残してパチンコに行ったり、電車や店のなかで叫び暴れる子供を放置していられるゆとり――を奪うことのほうが先なのではなかろうか、とさえ思えるのである。
 なんかぜんぜんまとまりませんが、そんなようなことを思ったのであったよ。うーん、これ、もう少しじっくり考えるべきかもな。とりあえず下書きってことで。

投稿者 percent : March 16, 2005 01:53 AM | トラックバック (0)
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コメント

ゆとり教育は本当に、詰め込み教育の反対語として機能したのだろうか。
学校も教師も親も、みんな手を抜いて責任を負わない、とりとめのない状態が「ゆとり」という美しい言葉で包み隠されていたのでは・・・。
非戦闘地域の定義をめぐる、首相発言にも通じる、実のない言葉が氾濫する中、読解力は育つのか。           日経・春秋より

やっぱり、やわらかーい脳細胞の時に、どんどん詰め込んでほしいかな。
今の私など読んでも読んでも・・・・とほほほ。

Posted by: メジロ : March 18, 2005 05:54 PM

まったくみんな自分のせいじゃないってことにしたくて大変なわけです。
好きなこと〈言っとり〉教育ってやつです。
ご紹介いただいた「日経・春秋」(しかしこう書くとまるで中国の古典みたいですね)に全面的に賛成だなあ。〈ゆとり〉という美名のもとで、みんな手を抜いてきた。今頃になって若者の学力が落ちてきたとあちこちで話題にするけど、そう簡単には戻りませんよね。
ちゃんと考えて子供を教育する人たち(親・教育関係者)と、別に今さらいいじゃんみんな手を抜いてるんだからなんでウチらだけ努力しないといけないわけと放置して適当に育てる人たち。おそらく両極にわかれることになるのでしょう。
それが階級社会になるのか、多数派に呑み込まれて世界の三流四流国ニッポンとなるのか、わかりませんが、当の子供たちにとってはどちらになるにせよ気の毒なことです。

Posted by: ぱと : March 20, 2005 10:53 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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