0.3%の雑文[002]
スタバの陰から  ――はじめてのスタバ2

 スタバにはかれこれ4回ぐらい行っているので、もうスタバの常連と言っても過言ではないだろう。マイ・マグカップ持参したほうがいいのかもしれない。荷物になるが。

 雨が降ってもスタバには客がつまっていた。
 医療用のカート(透析かなにかなのだろうか)を引きずったおばさん──初老ぐらいか、とくにオシャレではなく、そこらへんにいくらでもいそうなオバハン──まで見かけた。健康とかの面でどうなんですかね。つか、そこまでして来なくても。

 今日のオーダーは「キャラメルマッキアート、トール、エクストラホット」である。一気に言うことができた。スタバ検定があれば6級ぐらいはクリアできそうだ。なんだスタバ検定って。
 スタバの店員のことを「バリスタ」と呼ぶらしい。“スターバックスでバリバリ働いている人”の意味ではない(すでに5万人ぐらいがこの冗談を流通させている模様)。イタリア語でコーヒーの専門家という意味だとか。ほんとのところは知らない。それにしてもバリュースターみたいな言葉だな(マリナーズの佐々木も仙台で「一日バリスタ」をやったんだそうです。なにやってんだかな)。

 今日あらためて気づいたのだが、スタバに対して一歩、いや数歩引いてしまう一番の理由は、従業員たちの声であった。夜はあまり気にならなかったのは男性従業員がいたからかもしれない。今日は女性だけであった。
 レジでの応対はいい。普通だ。注文を繰り返し金を受け取りおつりを渡す。一連の動きに問題はない。
 問題はそのあとだ。
 レジ係が、カウンター内でコーヒーを作っている係員(5、6人いる。いずれも女子)にオーダーを伝える。そして5、6人の女子がそれを復唱するのである。

レジ係「キャラメルマッキアートぉ〜」(語尾をのばす)
作業員「キャラメルマッキアートぉ〜」(×6)
レジ係「トールぅ〜、エクストラホットで〜」(語尾をのばす)
作業員「トールぅ〜、エクストラホットで〜」(×6)

 などということになり、きゃぴきゃぴした声が店内に反響する。たいへん鬱になる。どこかでこういうのあったなと思う。小学校の卒業式の“よびかけ”を思い出す。「楽しかった林間学校」「林間学校」みたいな。
 アメリカでもこうなのか? 本家アメリカのスタバでもこういうふうにやってるのか?
 多分違うと思う。知らないけど。日本独特のものなのではないか。マクドナルドで「ワン・チーズバーガー、プリーズ」とレジ係が叫び、厨房から「ワン・チーズバーガー、サンキュー」と返ってくる、あれと同じだ。あれと同じ作法で、あれと同じ《ファストフード発声法》で、脳天から声を出している。そんな発声法あるのか。あったとしたら、すげえいやな発声法だな。
 なんとかならんもんか。まあ返事が「ウィ、ムッシュー」とか「へい喜んで!」とかじゃないだけマシか。

 最近はどうだか知らないが、昔むかしウェンディーズではレジ横にマイクがあって、オーダーはごく低めの声で厨房に伝えられていたように思う。はじめてウェンディーズに行ったとき(いつだったか忘れた)、あれがカッコよかった。アメリカっぽいと思った(行ったことなかったのに)。

 それでも寒い雨の日には、熱いコーヒーはありがたい。女子アルバイトの脳天直撃声のひとつやふたつ(合計6つぐらいなのだが)は我慢するべきなのであろう。

(2003.2.11)

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