July 12, 2006

習い事今昔

 夕刊にね、こんな記事がありました。asahi.comにもあるかな。ありましたありました。

習い事「一石二鳥」流 英語使いそろばん・柔術・ピアノ(asahi.com)

 ピアノやらそろばんやらグレイシー柔術やらまあいろいろあれこれな「習いごと」「お稽古ごと」を英語でおこなうところが増えており、「ピアノも習えて英語にも親しめるなんて一石二鳥だわっ」「スポーツをやりながら英語もおぼえられるとは飛ぶ鳥を落とす勢いだな」「お習字も英語でやってくれたら立つ鳥跡を濁さずなのに」と親御さんたちに大受け、という話です(一部うそ)。

 まあね、どうでもいい話ではあります。
 ちっちゃいうちから英語にふれさせるのが本当に意味があるのかどうか、ということも含めてね。英語よりフランス語だろうとか中国語だろうとか、いやいやむしろ敬語だろう謙譲語だろうとか、ま、そのへんも好きにすればよろし。ピアノよりバイオリン、柔術より合気道、などといった「どっちがいい」っていうのも、「どっちでもいい」。習わせたいものを習わせればよろしい。

 東京都新宿区のそろばん教室「トモエMIアカデミー」。英語で読み上げられる数字を聞き取って、子どもたちがそろばんをはじいていく。「願いましては」は「Starting with」だ。

 藤本トモエ社長(51)は「英語とそろばんは相性がいい」。英語の数字には発音が難しい「th」や「f」が含まれていて、リスニングの練習にも役立つという。

 などという話も、笑っちゃうけどな。「願いましては」はいいが、「×円なり、△円なり」というのはどう言ってるんですかね。ただ単に「Five, three, ten」とか言ってるのかね。どうせなら「Five cents, nary!」とか言ってほしいけど。リスニングに役立つのか。ほんとかよ。
 ま、なんにせよ商売ですから、教育産業ですから、なんとでもこじつけられるのでしょう。それを信じる親御さんに夢を与えるということも重要な要素のひとつでしょうし。

 小2の長男を通わせている横浜市の主婦(39)は「そろばんも英語も習わせたかったので、ちょうどよいと思った。計算が素早くなりました」。

 という、経済効率最優先的な考え方も、ありなのでしょう。消費者なんだから。

 東京都東久留米市にあるピアノ教室「エマ」の根岸幸代講師(28)は、04年11月から英語でピアノを教えている。「ふだんは控えめでも英語だと感情表現が大きくなる。表現力が高まる」という。

 などという戯れ言すてきな発見も、楽しいですしね。
 いやそれ英語だからっていうんじゃないんではないでしょうか。むしろ日常生活、環境が、小さめな感情表現をよしとしているからじゃないんでしょうか。親御さんが感情表現豊かな場合は、子供もそうなりますよね。習慣として。などというワタクシの愚かな考えなんかどうでもいいんです。英語のときだけうるさいっていうほうが、まだ我慢できるし。

 じゃあなにを俺は苛立っているのかムカついているのかこの記事を晒し者にしたがっているのか。
 それはここです。グレイシー柔術を英語で習っている子たちのエピソード(しかしすごいねグレイシーも)。

 白鳥沙良ちゃん(6)とりさちゃん(4)は英会話教室に通っていたが、間違うと直されるのが嫌でやめた。「柔術では英語を間違っても大丈夫」

 おいちょっと待て。
 もう一度。

間 違 う と 直 さ れ る の が 嫌 で や め た。

 あー。もしもし?
 サラちゃんリサちゃん(なんで下の子は漢字じゃないんですかねどうでもいいですが)がそう言ったのかな? それともママがそうしてあげたのかな? おじさんが、いいことを一つ、教えてあげようかな。
 習いごとっていうのは、間違ったら直してもらう、ってことなんだよね。ピアノでも英語でも柔術でもダンスでもサッカーでもお絵かきでもバイオリンでもスワヒリ語でも水泳でもお習字でも乗馬でも同じなんだよ。先生のお手本があって、それを真似っこして、間違ってるところやうまくできないところを教えてもらって、じょうずになっていくんだよね。だってじょうずになれなかったら、みんないやだし、じょうずになれなかったら、高い月謝払ってるのにこの先生はなんにも教えてくれないなんだよこの月謝泥棒って言われちゃうからね。
 それにね、ちいさい子にとっては、おうちでパパやママに教わるだけじゃなく、「せんせい」という存在に接して、なにかを「習う」っていう経験も、なにかが上達するということ以上に大切だと思うんだよね。

 そんなこともわからず、子供が「直されるからイヤー」と言ったからと習いごとをやめさせるような馬鹿親親御さんは、子供が嫌がることをできるだけ子供から遠ざけて、温室栽培みたいに子育てしてるんだろうね。いずれ子供に殺されるに違いないとおじさんは思っちゃったなあ。
 もちろん子供が「こんなこと習いたくない」といってるのを無理矢理習わせるのは問題があるかもしれないけど、直されるのがイヤだからゴネるようなガキ子供には、ちゃんとフォローして続けさせてあげるのも親の仕事じゃないかと思うんですがねえ。

投稿者 percent : July 12, 2006 04:22 PM | トラックバック (0)
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コメント

いまに習い事のための予備校みたいなものができるんじゃないのか(笑)

もう何十年も前に、青雲の志をもって単身渡米した年上の知人が、現地で知り合った同じく青雲の志の同胞のなかでもっとも英会話が上達したのは芸術系の人だったという話をしてくれたことがあります。「やみくもではあっても、主張したいことが多ければ多いほど(語学習得には)いいのかもしれない」と言ってました。じつに説得力のある話でした。

習い事は習い事できわめることが肝要でしょう。
なんだかんだいって、妙な教養主義が根強いのでしょうこの国は。

Posted by: P柿 : July 14, 2006 03:10 AM

最近の親子連れを電車などで見たりすると、ママが大々的に主張するタイプが増えてきているような気がします。子供の服装も親の趣味、子供の行動も親の趣味(学校休んでワールドカップだディズニーランドだ、みたいな)。そうすると、自己主張こそ語学習得の要っていうのが微妙ですね。ママが習った方が上達するんじゃねえのか、と。
一方では、ひたすら自己主張の激しいガキ様がお騒ぎにになってらっしゃるケース(親は疲弊状態)も見かけますので、要するに両極端ってことなんでしょうか。
親子そろって自己主張が激しいと……周囲は地獄ですな。

Posted by: ぱと : July 14, 2006 03:40 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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