大分市の56歳、Tさんの投稿です(10月10日付「朝日新聞」声欄)。
ニートの息子
温かく見守る
肩書きを見てみます。Tさんは無職であります。ええっ!?
「おはよう」と問いかけると、次男は「アー、今日は頭が痛い」。もう午後2時過ぎだ。彼が高校を中退したのは3年の3学期。
息子はいま流行りのニートです。パパも無職、息子も無職、いやはや。幸いニートなのは次男だそうですから、きっと長男が家族を養っているのでしょう。何人家族なのかわかりませんが、長男、かわいそうです。この次男は何歳なんでしょうねえ。
確かに私は、彼に一度も勉強しろと言ったことがない。カウンセリングでは「育て方に原因があるわけではない」との言葉。「今の子は30歳までが思春期」と、その時知った。
よかったですね、教育方針を否定されなくて。30歳までが思春期だなんて馬鹿げたことを言ったのはそのカウンセラーさんですか。まあじぶんに都合のいいことを信じるしかないですもんね。
思うに、全国に70万人近くいるニートは時代の落とし子だ。大学に行き、どんな仕事に就いても、幸福になるとは限らない。
おいおいおいおい。時代の落とし子じゃなくて、あんたの息子だと思うんだがどうか。数が多ければ安心なんですか。ああウチだけじゃないからしょうがないよなとか思うのですか。大学に行こうが就職しようがそりゃあどんな選択をしたって《幸福になるとは限らない》のは当然のことです。なに寝ぼけたことを言っているのかこのおっさんは。
僕と妻は腹をくくった。この子が自信をつけ、自分の道を見いだすまで、何年たっても温かく見守ってやろうと。
はいはい、ご立派スリッパ。温かく見守るのは勝手ですよ。でもなあ父ちゃん、とりあえず無職はまずいだろ、無職は。すげえ大金持ちで金が有り余っていて、息子のひとりやふたりニートになっても死ぬまで安泰、っていうのなら見守るのもよろしいかと思いますが、収入がないのに見守ってる場合じゃないと思うんですがいかがでしょう。
いや、もしかしたら奥さんが大富豪なのかもしれないですし、ご長男に会社をまかせて悠々自適の元社長なのかもしれません。だったらまあいいです。「無職」という肩書きにも、その背景はいろいろありますからね。でもやっぱり《「歌と笑いと涙 心に晴れ間が」72歳無職》というときの「無職」とは意味合いが違ってくるのでそこらへんは明記していただきたいもんです。
個人的には、ニートなどというものはほっときゃいいと思ってます。ほっとくというのは、国が援助する必要もないってことで、一般失業者とおなじように、職業訓練を受けたい人は受けられるようにしておくだけでよいと。ニート対策のためにわざわざ税金を使う必要はないという考えです。ニートが食うに困って強盗でもするようになったら、そのときは別の意味での対策は必要かもしれませんがね。
なにしろ、とりあえず死なないもんなあ、みんな。ストリートキッドになって引ったくりで生計をたてるとかしなくても平気だし。
親ってえらいねえ。とことん庇護するよねえ。またニートちゃんたちもそれに甘んじるよねえ。一日も早く親のもとから脱出したいとか思わないんだろうなあ。親子のつながりの深いこと深いこと。親嫌いの俺としてはちょっと気持ち悪いっすけど。
まあ親の利用方法としてはいいのかもしれないですね。かじれるだけスネをかじり(かじれるスネがなければそこでアウト)、親の死後は遺産を喰いつぶす(遺産がなければそこでアウト)。親のほうは我が子が近くにいてくれれば無条件で安心するみたいだし(子供に殺されたりしたらそこでアウト)。
崖っぷちのところを手に手を取って生きていくのなら、それはそれでスリリングかもしれません。緩慢な一家心中にしか見えませんが、本人たちがそうしたいのならいいのでしょう。自分で選んでるんだからね。せいぜいがんばってください。
この親にしてこの子あり、ですな。
いやあもう、さいきん若い人見ると、それがバイトだろうが、ともかく働いてるってだけで「えらい」って思っちゃいますよわたしは。
しかしみんな親好きね。わし10代の頃なんか家を出ることばかり考えてたような気がする。「夢」だとかですね、あったとしても追求する余裕はなかったですよ。そもそも家を出ることが「夢」だったのかもしれない。そんなわけで、めでたく家を出ることはできましたが、こんどは働くのでいっぱいいっぱいえ「自分さがし」とやらもしたことないです。うはは
ゆがんだ家族主義っていうんですかね、昔みたいな家父長制万歳、頑固親父封建制度といったものはだんだんとすたれてきて、それに代わって、幻想のニューファミリー(笑)世代による、仲良し家族とその延長線上の助け合い傷の舐めあい主義というのが跋扈しているように思えます。
それって要するに、現実を直視したくなくて、責任も取りたくないってことなようにも思えますが。