0.3%の雑文[012]
最近の試写室  ――知られざるテレビ評論家たち(6)

 いい加減しつこいと自分でも思うわけです。
 フルネーム署名記事になり、にもかかわらず相変わらずとんちんかんなことを書いていたり、テレビ欄以外でもちゃんと芸能関係の記事も書いていたりする試写室チームの面々ですが、たまに読むと、やっぱり楽しいコラムであったりもするのだから仕方がない。

持ち帰り仕事のひそかな楽しみ
 3月2日の「試写室」は「ためしてガッテン」(NHK)。執筆者は赤田康和氏。
 長寿番組をわざわざ取り上げる場合は、その回のテーマが特別おもしろいということなんでしょう。3月2日のテーマは《オリーブオイル》。

コレステロール値を下げるというだけあって、日本でも大人気だ。自宅でテープを見ていると、隣に妻も座って「明日はパスタを作るつもりだったの」。

 え。《コレステロール値を下げるというだけあって》という日本語もなんかおかしな感じですが、そんなことはどうでもよくて。
 自宅で妻と見たのかこの人は。赤田さん。赤さん。持ち帰り仕事は大変ですよね。しかしその仕事の結果である原稿に、私生活を臆面もなく出してしまうというのはどんなもんでしょう。
 妻とならんで楽しく試写ですか。そして《「明日はパスタを作るつもりだったの」》。
 知らねえよ。っていうか、訊いてねえよ。
 もうなんだか番組の紹介なんだか、「俺たち仲良し夫婦だしぃ」表明なんだかよくわからん。気になっちゃって番組紹介も目が滑る。しかもこれだけではないぞ。最終段にまた「妻」が登場する。

 実際にアイスクリームにかけて食べてみた。確かにうまい。「香り豊かな大人の味になるね」と妻。

 おいおい……。そんな陳腐というかダサい言い回しを出すために妻を持ってきたか。もしかして赤さん、「いやあ、こりゃあ香り豊かな大人の味だな」とか自分で思ったんじゃないの? 思ったばかりかつい口に出しちゃって、奥さんに「なにダサいこと言ってんのよワケわかんないわよ」とか言われたんじゃないの? それでムカついちゃって奥さんの発言にしたとかじゃないの?
 などといろいろ考えちゃいます。
 とりあえず赤さんは、奥さんだのなんだの身内を出さずに自分のことばだけで原稿を書くようにしたほうがいいと思います。身辺雑記で番組を紹介するのは百年ばかり早いと申し上げておこう。

おなじみ西ちゃんくやしがるの巻
 持ち帰り仕事といえば西ちゃんだが、3月3日には「TVチャンピオン/小学生名探偵王選手権」(東京)を紹介している。あいかわらず無邪気な人だ。

 子どもごときに負けるもんかとテレビの前に座ったが、一問も解けずじまい。小さなホームズたちのかわいらしい顔が、なんとも小生意気に見えてくるくやしさ。

 というのが最終段落である。この体言止め。
 テレビごときに夢中になって、子供に対抗心を燃やすだなんて、なんとも大人げなく見えてくるおさなさ。
 いや、まあそれが西ちゃんのよさでもあるわけですがね。

(こまっちゃうな度 ★★★)

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(2005.3.5)

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