April 02, 2005

しつこく南セントレア

 今週の「週刊文春」で、高島俊男氏が南セントレア騒動を取り上げていたのでメモ(連載エッセイ「お言葉ですが…」第480回〈南セントレアの興亡〉)。
 最近、週刊文春の連載もあまり読みたいものがなくなってきたのだが、欠かさず読むのはこの高島先生のと小林信彦のぐらいかなあ。
 そんなことはさておき。

 さすが高島先生、南セントレア問題のポイントをするどく突いておられる。

何でも外来語のほうが上等でカッコいい、と思うのが千数百年むかしからの日本人持前のビョーキだからこれはどうにもいたしかたがない。(略)
 いったい「南○○」というのは、○○の範囲内にあってその南部に位置することを言う。南関東、南九州、南太平洋、南フランス…、みなそうである。東、西、北も無論おなじ。新しい市がセントレア内の南寄りにあるのなら南セントレアでもよかろうが、そうではない。
 もし日本語の用法として「南セントレア」のような言いかたがゆるされるなら、対馬は「南韓国」と言ってよいことになる。

 この種の市名はすでに「南アルプス市」があり、もう一つ「中央アルプス市」ができそうになったが、これも南セントレアと同様の経過で合併そのものが流れたそうだ。
 いったい、日本の産地を「アルプス」と呼ぶのが、上に言った「外来語ありがたや教」で軽薄なのである。

 わははは、いいなあ《外来語ありがたや教》。まさしくそのとおり。

 そして高島氏は、本来もともとそこにあった「地名」を流用して「市名」としたのが当然だったが、合併によってできた市には地名がつけられないケースが多いと指摘する。それまでは市名=地名だったのに、市名≠地名となり、さらに市名>地名(南アルプス市とか瀬戸内市とか、行政単位である市そのものよりも、その名前となっているもののほうが大きい)というものがどんどんできて、わけわからんことになってる、と。

 平仮名表記の市名についてもコメントがある。平仮名で表記される市名は、

 文書などに独立して書くには、見た目にやさしいし、よみちがえもなくてよいと思うが、文章のなかでまぎれやすいのが難点である。

 と。たしかにその通りなんだよね。《はいつくばってつくばに行った》とか《さいたまでさくらがさいたからさくらでお花見ができるのももうすぐ》とか(我ながらひどい用例だな)、読みづらいったらありゃしない。漢字やカタカナならば日本語の文章の中でひとかたまりと認識しやすいのでわかりやすいわけです。

 そういうことから言えば、カタカナ市名はわるくないはずである。セントレアみたいな、とても日本とは思えぬのはダメだけれど。(略)
 カタカナ地名はわるくないと思うのだが、安っぽさの克服が課題かもしれない。

 個人的には、たとえ日本語であったとしても、やっぱりカタカナの市名はあまり好きじゃありませんがね。
 どうしても市町村合併して新しい名前をつけなければならないのなら、最低限日本語で、できるだけその土地にあった名前(古くからある地名であればベター)をつけることにしてほしいものです。メインとなる地名を市名とすると、ちいさな村の人たちが《吸収されたような印象でイヤだ》という気持ちもわからないではないが、実際に(建前上はどうあれ)吸収合併に近いんだからしょうがないよなあ。

投稿者 percent : April 2, 2005 03:00 PM | トラックバック (0)
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コメント

はいつくばってつくばに行った、たいへん気に入りました。
はいつくばってつくばにつくばいの石を見に行った、ていうのはどうでしょう。
わるのりですね。ひゃはは

ここのところ毎日、新聞に“平成の大合併”の記事が出てますが、そうそう
キテレツな市町村名は見あたりませんね。ひらがな表記は別として、大部分
はまともな判断をしていると思われます。

Posted by: P柿 : April 5, 2005 01:50 AM

つくばつくば言ってたら、知らないあいだにこんな「市」ができることになってましたよ!

http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20050318/lcl_____ibg_____000.shtml
「つくばみらい市」だって。
なぜひらがな。なぜ“みらい”。なぜだ。どういうセンスなんだ。わけわからん。
なんかもう、めちゃくちゃですね。やれやれ。

Posted by: ぱと : April 7, 2005 03:28 PM
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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