March 03, 2004

がんばれオポ次

オポ次郎という男がいるのだ。弟だ。兄はスピやんという。ふたりは今、火星にいるのであった。
スピやんは現地でケガをして身動きが取れなくなり2週間の療養を余儀なくされた。しかしオポ次郎がいる。いつも兄のかげに隠れて目立たなかったオポ次郎が活躍するチャンスがきたのだ。
オポ次郎はがんばった。がんばって塩を見つけた。
火星の塩だ。
兄弟はなんとかこれを持ち帰り、商売をはじめるという。精製塩ではないナチュラルな塩は今ブームだから、きっとうけることだろう。火星の塩。伯方の塩よりうけるに違いない。沖縄の「ぬちまーす」なども流行っているが、火星には負けるだろう。商品名は「マーズまーす」で決まりだ。はやいとこ商標登録しとけよオポ次。
探せばソーダ水も見つけられることだろう。火星ソーダとして売り出せば巨万の富が兄弟の手に入る。

NASA「火星は生物生存に適した」 かつて大量の水
NASAが「重大発表」 火星に水の証拠発見か
火星探査車スピリット活動再開 2週間ぶり「健康宣言」
asahi.com火星探査特集top

(以下は、スピやんと連絡が途絶えたときに書いた馬鹿話。せっかくなのでここに保存しておこう)

そして西暦20XX年、人類がはじめて火星に降り立った。
「こちら火星、地球は……見えなかった。オーバー」
第一歩を踏み出したジョン・ジョンソン船長は、火星人がいないかとあたりを見回した。
「ハハハ、いるわけがないよな、ロジャー」
「キャ、キャプテン! あれは」
航海士のロジャー・ロバートソンが叫んだ。ロジャーの指さすほうを見たジョンソン船長は息を呑んだ。
「あ、あれは……」
たしかに動く影がある。火星に生物がいたのか。そんな報告は受けていない。敵なのか味方なのか。
「キャプテン、危険です!」
ロジャーの制止もきかず、ジョンソンは前進した。あれは、もしや――。
「おお、ロジャー、あれは……」涙で声にならない。
「ス、スピやん! スピやんですね!」
「ああそうだ、スピやんとオポ次郎だ」
「生きていたのか……」
ふたりは駆け出した。火星の重力、そして重装備。ゆっくりとした駆け足だった。が、苦にはならなかった。

ようやくふたりは二機の探査車のいるところに到着した。スピ太郎とオポ次郎は黙々と与えられた使命を遂行していた。ように見えたが、様子がおかしかった。二機は向かい合ったまま移動せずにいる。
太郎のほうは2本のアームを動かしているが、次郎はじっとしたままだ。
ジョンソン船長とロジャーはそっと近づいた。探査車同士が交信する声が聞こえてきた。

オポ次郎「じゃあ次はマグロね」
スピ太郎「へい、マグロいっちょう!」


投稿者 percent : March 3, 2004 04:41 PM | トラックバック (0)
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コメント
まあ気楽にコメントしてくれたまえ。もうしわけないが、スパムが多すぎなのでコメントは管理者の承認後、掲載される。まあ気長に待ってくれたまえ。









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